うらないコンサルティング
■登場人物
山田沙綾(ヤマダ・サヤ) ……………… 売れない占い師。
目黒伊三郎(メグロ・イサブロウ) …… 占いコンサルタント。
***
怪しげな明かりがつくと、舞台中央に山田。
チープな台に、チープな「占」の字。
台の上には水晶玉(本当は金魚鉢)が置かれている。
※縁の部分は布とかで隠す。
しかし、水晶玉は使わず、タロットカードをまぜている。
台の手前には客用のイスが置かれている。
そこにいる客(マイム)に対して占いをしている様子。
山田 ──これっ!
山田、タロットカードを一枚引く。
山田 見えました。”月のカード”ですね、このカードは”愛の裏切り”を暗示するカードです。ですから、お兄さんの「彼女にプロポーズするかどうか迷っている」というお悩み、言いにくいですが……今一度、他に男性の影が無いか調べる事を強くおすすめします!……えっ? 「彼女が浮気なんて絶対にありえない?」 それは、皆さん言いますよ。でも残念ながら……え? 彼女は二次元のアニメのキャラだからありえりえない? で、でも、よく知らないですけど、そのアニメの続編が出て彼氏が出来たりとか……無いですよね!
山田、”タロットカード入門”みたいな本を机に取り出し調べる。
山田 ちょ、ちょっと待ってください。カードって、いろんな解釈が出来るから、他の暗示だったかも。えっと、月、月、月、……あっ! 待ってください! お兄さん! ていうかお金! ちょっと! 待ちなさいって! 待ちなさいよー! このやろぉー!
怪しげな明かりが戻り、地明りに。
どうやら、ここはどこかの路地。
山田 はぁ……また怒らせちゃった。私、向いてないのかな……
山田、台によりかかり、うつ伏せに。
目黒、そこへ登場。
山田の前にじっと立ち、机をコンコン。
山田、それに気づいて、
山田 へ!?
目黒 お困りですか?
山田 あっ、お客さん!? ごめんなさい! どうぞ、おかけください!
目黒 お困りですよね? 占いが当たらなくて困ってらっしゃる。
山田 ゔっ……え、何!? 何ですか?
目黒 あなたのお手伝いさせていただけませんか?
目黒、そう言いながら名刺を取り出し、手渡す。
目黒 私、こういう事をやっております。”目黒伊三郎”と申します。
山田 あ、ども。
山田、名刺を受け取る。
山田 うらないコンサルタント……?
目黒 はい。フリーランスで占いのコンサルタントをしております。
山田 えっ!? コンサルタント!?……ってなんだっけ?
目黒 いわゆる「相談役」ですよ。クライアント様の経営課題を明らかにし、それを改善するためのアドバイスをさせていただくお仕事。
山田 あー、なるほどー。
目黒 あ、ピンと来てませんね? しかたない。それじゃあ例えば……私が飲食店のコンサルタントで、あなたが売れないうどん屋さんだとします。
山田 はぁ。
目黒 さぁ、相談してきて。
山田 え、そっから? あ、あのぉ、うどんが売れなくて困ってるんですけどぉ。
目黒 うどんはいくらで提供してますか?
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