ただの猫好き
――とある休日

勧誘する人:「ピンポーン」(セルフSEかSE)
主人公:「はぁい」

――主人公、ドアをあける

主人公:「どちらさんですか?」
勧誘する人:「あなたは神を信じますか?」
主人公:「はぁ?」
勧誘する人:「信じる者は救われます。信じる者こそ救われます。さぁ、神を信じて徳を積みませんか? そうしたら来世には」
主人公:「(途中で遮って)あー、すみません。そういうの信じてないんで」

――ドアを閉める

主人公:「まったく……。こんな休みの日に宗教勧誘かよ」

猫好き:「ピンポーン」(セルフSEかSE)
主人公:「また誰か来た。はーい」

――ドアをあける

主人公:「どちらさんですか?」
猫好き:「こんにちは~、お忙しいところ恐れ入ります。今、お時間ありますか?」
主人公:「(心の声)さっきの人とは違うみたいだけど、また宗教勧誘かな……? それともセールス? 適当にあしらって追い返すか」

主人公:「あー、すみません。ちょっと忙しくて」
猫好き:「ならば手短にお話ししますね」
主人公:「こっちに拒否権ないんかい」
猫好き:「単刀直入に伺います」
主人公:「もー。なんですか」
猫好き:「猫は好きですか?」
主人公:「……は?」
猫好き:「猫は好きですか?」
主人公:「……ん???」
猫好き:「あのしなやかなフォルムに可愛らしいシルエット! 寝ても醒めても愛おしい! それが猫です」
主人公:「はぁ」
猫好き:「で? 猫は好きですか?」
主人公:「なんの質問なの、これ」
猫好き:「好 き で す か ?」
主人公:「えっと……別に」
猫好き:「え!?!?」
主人公:「えっ」
猫好き:「うそでしょ!? こんなに可愛いのに!?」
主人公:「だって俺、犬派だし。猫って愛想ないじゃないですか。甘えてこないし、あんまり懐かないし。なんか好きになれないっていうか」
猫好き:「はぁ~~~~~~~(セリフの途中でクソでかため息)」
主人公:「え、なに」
猫好き:「分かってない。分かってないですねぇ」
主人公:「なにが」
猫好き:「私は常々疑問に思っているんですよ。猫に愛想がないだなんて、誰が言ったんだろうって」
主人公:「でも実際、犬みたいに笑ったりしないし、いつもツーンとしてますし」
猫好き:「確かに、犬も可愛いですよね。感情表現が豊かで、元気で」
主人公:「そうでしょう?」
猫好き:「それに比べてしまえば、猫が不愛想に見えることでしょう。しかし!! 猫だって甘えてくれるんですよ」
主人公:「うそん」
猫好き:「例えば、なでなでされて喉をゴロゴロ鳴らしたり」
主人公:「ああ、確かにゴロゴロ言いますね」
猫好き:「そばに寄り添ってくれたり、膝の上に乗ったり」
主人公:「膝の上? ともだちが猫を飼ってますけど、そんなことしないって言ってましたよ? いつも遠くから見てくるだけだって」
猫好き:「もちろん、猫によって性格もまちまちですから。触られるのが苦手な子もいれば、人懐っこくて甘えん坊な子もいます。きっとお友達の家の猫ちゃんは前者なんだと思います」
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