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Rhapsody in Blue～阿佐ヶ谷のマリア～

Rhapsody in Blue　　　～阿佐ヶ谷のマリア～
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　ふるいけ　なつき
　【あらすじ】
　東京都杉並区阿佐ヶ谷、いつか日の目を見ることを夢見る劇団員が多く住む町。そんな町に住む、売れない劇団員、春美。都会の片隅、中央線の沿線、演劇を志す者たちの夢への挫折と折り合いをつけていく物語。
　
　【登場人物】
　稲垣春美　　売れない劇団員。実家を飛び出している。軽度精神疾患持ち。
　築山レオン　売れない劇団員。『劇団阿佐ヶ谷革命団』主宰。家を勘当されている。
　
　池田賢人　　春美の元カレ。演劇をやめる。今はカフェ機材の営業をしている。
　安藤風子　　賢人の彼女。演劇は見るのが好き。英語科教員をしている。
　
　稲垣春乃　　春美の妹、大学受験とミュージカル部に四苦八苦。
　母親　　　　春美と春乃の母親、愛にあふれて二人を育てたがレオンのせいで壊れる。
　（いやなやつらに含めても可）
　
　ひめか　　　レオンの浮気相手。同じ劇団に所属。
　アヤネ　　　阿佐ヶ谷から売れたスター歌手。映画に演劇に大活躍。賢人は大ファン。
　ボス役も兼ねる。
　注　アヤネはソロの女性シンガーソングライターという設定ですので、演じる際は演出
　の方が好きな歌手の曲をご用意ください。なお著者はカネコアヤノさんをモデルに
　しています。
　
　みんな　　　みんなと書いてある場で、舞台裏から声を当てる。
　
　いやなやつ（男）　男、上司、店長、校長など登場人物たちにとって嫌な奴らを演じる
　いやなやつ（女）　女、先輩、アンチなど登場人物たちにとって嫌な奴らを演じる
　（いやなやつら役の時は顔が隠せるマスクなどを被る。なおモブ男、モブ女と書いてある舞台シーンではアンサンブルとして出演、この時はマスクを外す）
　　なお、アンサンブルとしてご用意できる劇団の皆様は個別に役を当ててください。
　第一場　サピエンス
　　一　
　賢人は客席最前に座る。春乃は客席に座っている。
　声　　　「本日は、『劇団阿佐ヶ谷革命団』「サピエンス」にご来場いただき誠にありがとうございます、上演時間は途中休憩なしの約１２０分を予定しております。御用事のお済みでないお客様はお早めにどうぞ」
　レオン　「ああいかに、神はなぜ我々にかくなる試練を与えたもうたのか！秩序は壊れ、法は消え、金は紙切れになった。こんな世界い救いはあるのか？神は我々を救ってくださるのか！」
　レオン　「世界は壊れた。希望は消えて欲望のままに。友人たちは野獣になった。そう、野獣に」
　レオン　「ああ、あそこでも人が死んでいる。地上に降りた地獄で、人ならざる者が人だったものを貪る」
　レオン　「ああ、いかに、神はいかにこのようなものを与えたもうたのか」
　春美　　「大丈夫？」
　レオン　「ああ、大丈夫だ、それこそお前は大丈夫なのか？」
　春美　　「うん、私は大丈夫」
　レオン　「顔色が日に日に悪くなっていってるな、何か食べたほうがいい」
　春美　　「何かって言っても、ここにはもう何もないよ」
　レオン　「俺が何か探してくるよ」
　春美　　「ダメよ、外はあいつらが」
　レオン　「大丈夫だ、もう１か月もこんなところにいる。少しは体を動かさないと」
　春美　　「でも」
　レオン　「向かいのアパートを襲ってくるよ」
　春美　　「ごめんね、私のために」
　レオン　「何か薬があるかもしれない」
　春美　　「ごめんね」
　レオン　「気にすんなって」頭ぽんぽん
　レオン、部屋を出る。手にはバット。
　咆哮および、バットを振り回すレオン。春美は部屋で祈る。
　レオン、袋を持って戻る。
　レオン　「ほら、見てみろ！缶詰だ、スパムにコンビーフだよ。こんな滋養のあるもの久しぶりだ」
　春美　　「すごいね」
　レオン　「それに、部屋の前にいたやつらを３体も殺したよ」
　春美　　「泣く」
　レオン　「どうしたんだ？」
　春美　　「私はあなたにはバットじゃなくて、ギターを持っていてほしい」

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