My Blue Heaven
My Blue Heaven
小池晟聖
河村楓太(かわむらふうた)自動車整備工場で働いている、母親に女手一つで育てられた。
平本結子(ひらもとゆうこ)楓太の幼馴染、楓太と同棲している。
上野菜々美(うえのななみ)二人を早いとこ結婚させたい。サッちゃんの娘。
有明忠雄(ありあけただお)楓太の工場の先輩。
上野佐奈(うえのさな)サッちゃん、小料理屋の女将、愛の信奉者。
近藤小雪(こんどうこゆき)新鮮組系近藤組三代目
天山真司(てんざんしんじ)新鮮組系近藤組若頭
第一場 My Blue Heaven
1-1 On The Sunny Side Of The Street
自動車整備工場、楓太と忠雄が何やら作業をしている。工場の音が流れている。
ラジオ 「「この「My Blue Heave」という曲は、父と母が同棲していた頃にラジオで 「私の青空」という名前でよく流れていたそうです。やっぱり、今でもこの曲は好きで、家族みんなでもちろん父もみんなで聞いています」さあ、それではお聴きください。ムスブヒトさんのリクエストで、ジーン・オースティン「My Blue Heaven」です」
ラジオからMy Blue Heaven流れ始める。
忠雄 「お前、昨日の阪神の試合見たか?」
楓太 「いや、見てないです」
忠雄 「巨人に負けやがったんだよ」
楓太 「いつも負けてません?」
忠雄 「バッカお前、これ勝てば優勝だったんだよ」
楓太 「俺、野球分からないんですよ」
忠雄 「はん!おい、河村、レンチ取ってくれ」
楓太 「はい!」
忠雄 「くそ、小さくて見えねえな」
楓太 「先輩、ライト要りますか?」
忠雄 「ああ、頼む」
楓太 「ういっす」
忠雄 「しっかし、この車もかわいそうだねぇ」
楓太 「本当にそうですね」
忠雄 「ベンツぶつけて40万」
楓太 「ベンツぶつけて40万ってゴロ良過ぎないですか?」
忠雄 「盆踊りのうたい文句にありそうだな」
楓太 「ベンツぶつけて40万、ベンツぶつけて40万」
忠雄 「ははははは、そりゃ最高だ」
楓太 「でも、ベンツなんて、うちの工場にはいい収入ですね」
忠雄 「ああ、普段はボロ車の車検ばっかりで、ベンツの板金なんてないからな」
楓太 「おまけに、整備も注文してくれて最高ですね」
忠雄 「こりゃ、ボーナスどんと出るかもな」
楓太 「やった!」
忠雄 「しっかし、このベンツひどいねえ、どうしたらこんなにもぶつけるんだか」
楓太 「依頼主によると、細い路地で「ガリガリガリ」って引っ掛けたみたいですよ」
忠雄 「はっ金持ちのボンボンが、最初は中古の軽って決まってるんだよ」
楓太 「しかも、女の子にイイトコ見せようとして失敗したみたいですよ」
忠雄 「ははははははははははは、バッカだねぇ、それで、こんまい路地に入ったのか、覚えとけよ河村、若い男の子ってのはな、車で女の子にイイトコ見せようとするとぜってえに失敗するんだよ!」
楓太 「はは、そうですね、覚えときます!」
忠雄 「そうだ、河村」
楓太 「はい、先輩」
忠雄 「今晩、一杯どうだ」
楓太 「えっ今晩ですか?」
忠雄 「おう、サッちゃんの店だよ」
楓太 「えー、佐奈さんの」
忠雄 「なんだおめえ、サッちゃんのこと、まだ「佐奈さん」なんて呼んじょんのか」
楓太 「まあ、年上ですし?」
忠雄 「あんあんあんあん?サッちゃんのことを、オバサンだって?」
楓太 「違います、違いますって先輩」
忠雄 「お前は小さい頃から、サッちゃんっとこの菜々美ちゃんと仲いいんだから、いい加減サッちゃんって呼べ」
楓太 「いやぁ、なんか慣れないんですよね、サッちゃんって呼ぶの」
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