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ホコリを被った魚

『ホコリを被った魚』

槻市灯代

男……女のことが好き。
女……自由奔放だが傷つきやすい。

【場１　高校時代】

　　　　舞台は、男と女が勝手に「秘密基地」にしている空き小屋。
　　　　昔は倉庫として使われていたが、持ち主は死んで今は空き小屋となっている。
　　　　小屋の中には、男女が持ってきたクッションや毛布などが転がっている。
　　　　役者はそれを自由に使ってくつろぐことができる。

　　　　秋。少し肌寒くなってくるぐらい。

　　　　舞台上に男がいる。
　　　　しばらくダラダラしている。
　　　　ふと、ポケットから何かを取り出す。
　　　　それは水族館のチケットが二枚。男が女を誘おうと思って買ったものである。
　　　　男はチケットをポケットに戻す。

　　　　しばらくすると女が登場。
　　　　なお、男はこの時高校二年生、女は高校三年生である。

女　おーう。
男　どうも。

　　　　女、慣れた仕草でクッションを持ってきて、漫画を取り出す。
　　　　男、女のことが少し気になる。

男　それなんですか？
女　『（役者が好きな漫画）』
男　え、先輩そんなん読むんすか。
女　借りた。
男　へー。
女　意外と面白いよ。読む？
男　あ、はい。

　　　　男、女から漫画を受け取る。
　　　　なんとなく読んでいる二人。

男　てか、勉強しなくていいんすか？
女　んー？（片手間）
男　いや、受験。
女　あー。
男　あー、て。
女　まぁ、いいじゃんいいじゃん、ここではそういうの無し。
男　……。
女　ここは、二人だけでさ、のーんびり過ごす場所じゃん？昔から。
男　まぁ。
女　だからそういうのは、無し。
男　……。
女　……てか、じゃあ君はどうなのさ。
男　え？
女　え、じゃないよー。部活。大会でしょもうすぐ。
男　なんで知ってるんすか。
女　あんたが話したんでしょー。
男　そ、そうでしたっけ。

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