天国へのチケット
『天国へのチケット』
登場人物
新田光(ニッタ ヒカル) 中学生男子
明星朝音(アケホシ アサネ) 脚本家になりたい女
白川(シラカワ)死者管理局の職員
ハト 白川の部下 女
スズメ 白川の部下 女
カラス 白川の部下 女
案内人
女優
老人
管理職員 白川の上司(男)
※ハト・スズメ・カラスは口調を変えれば男でも可能
※案内人・女優・老人・管理職員は、ハト・スズメ・カラスと兼任可能
場面1 案内人の後ろを女優・老人・光がぞろぞろと後をついて歩く
案内人 いいですか。このチケットを皆さんにお配りします。決して落としたりなくしたりしないでください。
老人 なくしたらどうなるんですか。
案内人 それはそれはこわーいことになりますよ。(おどす)
老人 (驚いて腰を抜かす)
女優 とりあえず口には出せない大変なことになる、ってことかしら。
案内人 そういうことになりますね。ですから肌身離さず大事になさって下さい。ちょっと、後ろの人、聞いていますか?
光 聞いてます。
案内人 はい、これはあなたの分です。大丈夫ですか?そんなにぼーっとして。
光 はい。
暗転
光、壇上に一人残る
光 僕は新田光。十四歳。どこにでもいる平凡な中学生で、ただ普通に代わり映えの無い毎日を繰り返していた。これといって大きな夢があるわけではないし、やりたいことがあったわけじゃない。人より勉強が得意ってわけでもないし、運動が特別出来るわけでもない。集合写真の二段目くらいにひっそりと映っているようなそんな人間だ。
舞台上移動し、傘を手に取る
光は傘をさす
光 今朝の事だ。天気は雨。しかも土砂降りだ。僕は少し近道しようといつもと違う道で学校へ向かった。広い公園を突っ切ろうとした時、車が僕に向かってきたんだ。
「危ない」と叫ぶ声(朝音)
光 咄嗟の事で動けなくなってしまった僕は、ぎゅっと目を瞑った。車にはドーンって聞いたことのない大きな音が聞こえたんだ。
光、傘を放り投げる
光 そして気が付いたら僕はこの場所にいたんだ。多分あの時僕は……
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