アオナツ
須馬村夏物語
劇団カレーライスワークショップ
「アオナツ-須馬村夏物語-」


登場人物
小島正子(しょうこ)
城戸(きど)千代子(ちよこ)

母(アキ子)
看護婦(幸子)

ゲンサイ

舞台セット

舞台奥、上手から中央にかけて平台がある。
センターにはその平台にかかる階段がある。

#0 大正時代の駅
照明変化とともに汽車の音
プラットホームに千代子の姿が。
千代子は不安そうに周りを見回す
すると看護婦が出てくる
看護婦   城戸千代子さん?
千代子   あ、はい。
看護婦、同行者を探すが見当たらない
看護婦   一人で来たの?
千代子   はい。
看護婦   …親御様も忙しいのよね。(空気を変えるように)平塚にようこそ!カバン持ちますね。
千代子   いえ、大丈夫です。
看護婦   いいから!遠慮しないの。ね?
千代子   ありがとうございます。
看護婦   さあ、こっちよ!
看護婦カバンを受け取りながら、千代子を連れて去る


#1 オープニング(P1)
大正12年(1923年7月中旬)
須馬村(現在の須賀のあたり)の浜辺
遠くで須賀(すか)甚句(じんく)が聞こえてる
正子が歩いて出てくる
正子   あーあ…昔は参加してたのになぁ…祭りにも出られない、漁の船にも乗れない、私はどうやって夏休みをすごしたらいいの?
ゲンサイが出てくる
ゲンサイ  おう!正子!
正子   (きづいて)ゲンサイのおっちゃん!
ゲンサイ  ずいぶんシケたツラとるじゃないか?
正子   仕方ないでしょ。昔は一緒に祭りに参加してたのに、女だからってのけ者よ。なんで私は祭りに参加できないんだろ。女になんて生まれなきゃよかったよ。
ゲンサイ  何言ってやがる。常識はぶち破れ!だが非常識にはなるな!
正子   この須馬村でそんなへんちくりんなことを言ってるのはおっちゃんだけだよ。
ゲンサイ  ワシだって常識をぶちやぶったからこそ、今のワシがおる。わしには100年後の未来も見えるぞ。
母が出てくる
母    こら!この道楽ジジイ!うちの正子に悪いこと吹き込むんじゃないよ!正子!あんたもあんただ!少しは祭りの手伝いをしたらどうだい!?
正子   母ちゃん、祭りっていうのはね。参加するものなの!おむすび握って、仕出し出してなんてつまらない。
母    何言ってるんだい!それが女の仕事なんだよ!あんたも17なんだから少しはうちの手伝いでもおし!何のために女学校に行かせてるんだか…
正子   別に頼んでないでしょ!
母    何言ってんだい、この子は!?父ちゃんが頑張って漁をしてきてくれてるからあんたは女学校にいけてるんだよ!少しは感謝をおし。
正子   だったら、私が直接、父ちゃんの漁を手伝うよ!
母    バカ言ってんじゃないよ。女のあんたが船になんて乗ったら海の神様が怒っちまうよ!
正子   母ちゃん、時代は大正だよ。古い常識はぶち破らないと。
母    ほら!ジジイのせいで変なこと覚えちゃったじゃないか!
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