ヘンゼルとグレーテルは、
ヘンゼルとグレーテルは、


ハンス/ヘンゼル
    …兄。大人時代を“ハンス”、子ども時代を“ヘンゼル”とする。
グレーテ/グレーテル
    …妹。大人時代を“グレーテ”、子ども時代を“グレーテル”とする。

魔女   …兄と妹がそれぞれ演じる。


間隔を空けて2つ椅子を並べる。
そこにそれぞれハンスとグレーテが座っている。
2人が誰かに語りかけるように始まる物語。

ハンス   昔、森で迷子になったことがあったんです。妹と一緒に
グレーテ  お父さんとお母さんに捨てられたの。お兄ちゃんと私、2人
ハンス   そんな時代だったんです。家族全員で生きていくにはつらい、そんな時代
グレーテ  子どもたちに食べさせてやることもできない。それならいっそ、森の奥深く、誰も気がつかないところへ置いてきてしまおう
ハンス   仕方がないことだったんです
グレーテ  そう、仕方がなかったの
ハンス   でも、その時から、僕たちは、僕たちだけで生きていく決心をしたんです

ハンスとグレーテ、退場。

しばらくすると、ヘンゼルが登場。
地面に等間隔にお菓子を置きながら歩いていく。
その後ろからグレーテルの声。

グレーテル(声) お兄ちゃーん!何やってるのー?
ヘンゼル  道に迷わないように、目印をつけているんだよ
グレーテル(声) そうなんだ!お兄ちゃん天才!
ヘンゼル  これでちゃんと家に帰れるよ。安心して、グレーテル
グレーテル(声) うん!
ヘンゼル  さあ、置いて行かれちゃうよ。早く!
グレーテル(声) 待って!

ヘンゼルが行ってしまう。
それを追いかけてやってくるグレーテル。
ヘンゼルが置いていったお菓子を丁寧に全部拾っては食べ、拾っては食べながら進んでいる。

グレーテル  待ってよ、お兄ちゃーん!

グレーテル、ヘンゼルの後を追いかける。

ヘンゼルとグレーテルがバタバタとやってくる。

ヘンゼル  どうして目印がなくなってるんだ!?
グレーテル  お兄ちゃん、私たちおうちに帰れないの?
ヘンゼル  うん…
グレーテル  うわーん!
ヘンゼル  泣かないで、グレーテル

グレーテが前に出てくる。
グレーテが喋っている間に、ヘンゼル退場。

グレーテ  帰れるはずがないじゃない。目印、私が食べちゃったんだから。だって、お腹が空いて空いてしょうがなかったんだもん。大きくなってからこのことをお兄ちゃんに言ったら、怒られるよりも先に呆れられちゃった

グレーテ  それから、私たちは当てもなく森の中をさまよったの。お腹はペコペコだったし。たくさん歩いて、そしたら、どこからともなく甘い匂いがしてきたの

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