この話はフィクションです
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高江(たかえ)里美(さとみ)(30代後半、女性)……劇団主宰。作、演出。連続ドラマの脚本とか書いている。
佐藤(さとう)加奈(かな)(30代半ば、女性)……旅行関係の会社の事務。30過ぎてから劇団に入る。高江の脚本のファンで熱心。
郷田(ごうだ)仁(じん)(30代後半、男性)……劇団の立ち上げメンバー。既婚で子持ち。劇団の売上とかも人一倍気にしている。飲食店のアルバイト従業員。
林(はやし)亮(りょう)祐(すけ)(20代後半、男性)……別の劇団から移ってきた。劇団員の中で一番若い。実家の援助で暮らしている。
須藤(すどう)あかね(30代後半、女性)……結婚して子どもが生まれてから劇団から離れていた役者。映像のみの出演。
岡田(おかだ)壮司(そうじ)(30代後半、男性)……劇団の立ち上げメンバー。唐突にアメリカで成功するんだ、と言って出て行ったが、久しぶりにズームで参加。いつも違う国とか国内の変なところにいる。基本的に映像のみの出演。
第一場 稽古場
高江が一人で脚本を書いている。そこに郷田がやってくる。
郷田 お疲れ。
高江 (ずっと書きながら話す)あぁ、お疲れ。
郷田 悪いな。忙しいのに呼び出して。
高江 いや、そろそろなんか言われるとは思ってたから。まぁ基礎稽古もしないと体なまるしね。
郷田 たぶんいうこともわかってると思うんだけどさ。
高江 うん。
郷田 そろそろ公演しないと俺らだめじゃないか。
高江 それはそうなんだよね。
郷田 もう1年以上公演打ってないぞ。
高江 うん。
郷田 そりゃ最初の緊急事態宣言の頃はどこもやってなくてさ、俺も中止もしょうがないかな、って思ったよ。
高江 あの頃は劇場借りられなかったしね。
郷田 でもさ、今はどこも普通にやってるだろ。
高江 それはそうなんだけど。正直、今脚本の仕事が忙しくて
郷田 お前さ、(言いかけたところで、林と佐藤がやってきてやめる)
林 (元気に)おはようございまーす。
佐藤 (テンション低めに)おはようございます。
高江 おはよう。
郷田 おはよう。珍しい。一緒に来たの?
林 (座りながら)いや、稽古場の前で会いました。
佐藤 私は駅からずっと前に林さんいるな、とは思ってました。
林 だったら声かけてくださいよ。
佐藤 いや、声かけたら一緒に来なきゃいけなくてめんどくさいじゃないですか。
林 (すねて)えー同じ劇団員なのに。
佐藤 プライベートは別です。
高江 佐藤ちゃん、その辺厳密よね。じゃあ、とりあえず各自ストレッチから。今日スタチューやるからね。
郷田・佐藤 (林にかぶっても可)はい。
林 えー、やるんですか。やりたくないです。
郷田 久々なんだからちゃんと身体訓練系はやっとかないと。
林 あれ筋肉痛になるんですよねぇ。佐藤さんも苦手ですよね。
佐藤 まぁ、ストップモーションがうまく止まれなくて。
郷田 ほらほら、文句ばっか言ってないで。林、そろそろ公演したいだろ。
林 え!やるんですか!!それはやりたいです!
佐藤 決まったんですか?
郷田 いや、決まってないけどそろそろやりたいなぁと思ってて。
林 そうですよね。お母さんからもそろそろ公演ないのって言われてるんですよ。
郷田 あー、お前の親毎回めっちゃ差し入れくれるもんな。ドンペリとかキャビアとか。
佐藤 すごいですよね。
林 いえ、それほどでも。
郷田 お前、やりたい役とかあるの?
林 ん-、特にないですけど、お母さんからは主役を期待されてます。
佐藤 主役はまだ無理じゃないですか。
高江 考えとく。(切り替えるように)はい、じゃあ発声お願いします。
テンション低めのオープニング曲入る。以下、曲に合わせて動く。発声、何やってんの?ゲーム(パントマイムゲーム)、稽古終わって、皆帰る。
また、別の日として戻ってくる。高江が戻ってきて、郷田入る。二人の微妙な雰囲気。佐藤入る。そのあと、林入ってストレッチして、高江の合図でストップモーションしてダンスして終わり。
第二場 稽古場
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