ネバーランドよ、永遠に
「ネバーランドよ、永遠に」  

登場人物

ピーターパン
ウェンディ
ベル
リリー
フック船長


(舞台中央にスポット。雨が降っている。少女がしゃがみ込んで泣いている。少しして、傘を持ったピーターパンがスポットに入ってくる。)

ピーター「どうしたの?そんなに泣いて」
少女  「……」
ピーター「雨降ってるよ?君、濡れてる。風邪ひいちゃうよ?」
少女  「……」
ピーター「いつまでそうしてるつもり?」
少女  「……いつまでも。」
ピーター「何があったのさ?」
少女  「……一番の親友が、いなくなっちゃったの」
ピーター「うん」
少女  「それは……私の、私のせいなの!私が悪いから!……全部、私が悪いの……もう、何もかも、忘れてしまいたい……」
ピーター「……君はさ、ピーターパンって信じてる?」
少女  「……それが、どうかした?」
ピーター「何を隠そう、僕がそのピーターパンさ」
少女  「えっ!本当?」
ピーター「本当」
少女  「本物?」
ピーター「本物!……っていうのはちょっと違うけど。」
少女  「そうなの?」
ピーター「僕はね、二人目のピーターパンなんだ。物語にしか登場しない一人目とは違って、本当に存在する二代目のピーターパン。」
少女  「すごい。二代目でも、本物でしょ?」
ピーター「そうかな?……君は素直で良い子だね。そんな君をネバーランドに招待してあげる。永遠に子どものままでいられる国。悲しいこともつらいことも何一つない幸せな世界、ネバーランド。」
少女  「ネバーランド、幸せな世界……行ってみたい……」
ピーター「本当に!?嬉しいな。君みたいないい子が来てくれたら、僕の仲間も喜ぶよ。」
少女  「でも……」
ピーター「大丈夫。心配ないよ」
少女  「そう、ね。うん。私、行ってみる。」
ピーター「うん!(少女が何かを大切そうに持っていることに気付き)何持ってるの?」
少女  「ああ、これは……その親友にもらった、ペンダント。大切な、宝物なの……」
ピーター「……君、何もかも忘れたいんだっけ?」
少女  「ああ、うん………」
ピーター「じゃあ、そのペンダント貸して。預かってあげる。君の忘れたい記憶と一緒に。」
少女  「え?でも……」
ピーター「忘れたいんだろう?」
少女  「……うん」
ピーター「(鞄から箱を取り出すと、ペンダントを受け取り)記憶と一緒に、しまっておこう(箱に入れ、蓋を閉める)」
少女  「う………なんか、目眩が……(と、よろける)」
ピーター「(よろけた少女を支えて)しばらくはくらくらするかも。大丈夫、僕がしっかりネバーランドまで連れて行ってあげるから」
少女  「(額を押さえたまま)うん……」
ピーター「……せっかくネバーランドに来るんだから、僕が君に新しい名前を付けてあげる。君の名前は……ウェンディ。今日から君は、ウェンディさ」

(暗転 雨音が消え、可愛らしくもどこか怖いオルゴールの音が響く
明転
ぬいぐるみやおもちゃの置かれた、子供部屋のような雰囲気の部屋。布団が敷かれている。布団の上にはパジャマ姿のベルとリリー。ベルは何やら分厚い本を読んでいる)

リリー 「ピーター、遅いね」
ベル  「(聞いてなさそうに)ええ」
リリー 「どこほっつき歩いてんだろうね」
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