麦わらの鎌足
『麦わらの鎌足』
推奨キャスト数:9名(島民・兵士各2名、各役兼役)─17名(同各5名、全役別キャスト)
登場人物:
・中臣鎌足(男)─中大兄皇子に仕える豪族。博識。
・中大兄皇子(男)─飛鳥時代の皇族。刀の達人。
小春はじめ島民たちには「OG」のイントネーションで呼ばれる。
・小春(女)─ナニガシ島に暮らす少女。行動力がある。
・蘇我蝦夷(男)─中央政権で実力を振るう豪族。入鹿の父。
・蘇我入鹿(男)─蝦夷の息子。大臣の座についているが、父の言いなり。
・☆船頭─流刑になる鎌足と皇子の案内人。
・☆島民─ナニガシ島の住民たち。人数不定、2─5名程度推奨。
・☆兵士─蘇我氏が抱える兵士たち。人数不定、2─5名程度推奨。
・☆ナレーター─物語のナレーター。
*☆の役:☆同士の兼役が可能です(島民・兵士はシーン7のみ兼役不可)。
*漢字の読み方:
「京」=「みやこ」、「大臣」=「おおおみ」、ナニガシ「島」=「とう」
○シーン1 京
皇族をはじめ、有力者が集まる京。
兵士たち、舞台中央に立っている。
(「多勢に無勢」を強調するため、このシーンのみ兵士の数を多くすることを推奨)
鎌足、皇子、舞台上手側の袖に隠れている。
ナレ(声)時は飛鳥時代、645年。
スポットライト点灯、舞台中央を照らす。
鎌足、皇子、舞台中央に駆け込み兵士たちに斬りかかる。
鎌足、皇子、兵士たち、セリフなしの殺陣を行う。
ナレ(声)蘇我氏による権力の独占に異を唱えた皇族・中大兄皇子、
そして彼の理念に賛同した中臣鎌足。
彼らは蘇我氏の横暴から朝廷を取り戻すべく、たった2人で立ち上がった。
それすなわち、京で実権を握る蘇我蝦夷・入鹿親子の暗殺計画──
のちに「乙巳の乱」と呼ばれることになる、歴史を揺るがす大事件である。
次第に鎌足と皇子が劣勢になっていく。
ナレ(声)夜陰に乗じて攻撃を仕掛ける鎌足の奇策と、圧倒的な皇子の刀捌き。
蘇我氏の兵に対し、2人は善戦するも──
兵士たち、鎌足と皇子を囲む。
ナレ(声)いかんせん多勢に無勢。かくして革命の灯は、あえなく潰えたのである。
兵士たち、鎌足と皇子を連れて退場。
蝦夷、入鹿、入場しスポットライトの範囲に立つ。
蝦夷 中大兄皇子、中臣鎌足…愚かなものよ。
我が一族に歯向かう者の命運など、火を見るより明らかだというのに。
入鹿 また同じ過ちを繰り返さないとも限りません。
やはり死刑以外の選択肢はありえませんね。
蝦夷 そう焦るでない、入鹿。
入鹿 と、おっしゃいますと?
蝦夷 考えてもみろ。いくら腕が立つとは言え、連中はしょせん2人だぞ?
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