浮遊惑星は銀河を彷徨う
《本編》
■浮遊惑星
白いワイシャツを着た男と女がいる。
二人はそれぞれ自由に歩いている。
女は清楚。
男はネクタイを緩めている。
二人は、行く当てもなく、
この宇宙を彷徨っているのだ。
ここは銀河系のどこか。
人は惑星のようである。
男「浮遊惑星。銀河系を浮遊する惑星のこと。浮遊する惑星規模の質量を持った天体」
女「浮遊惑星。なんらかの理由で恒星系からはじき出された存在。銀河の中を漂う孤独な存在」
男「浮遊惑星。銀河をひたすら漂う」
女「浮遊惑星。属する先を失った、悲しい存在。あなたは何を求めて彷徨うの?」
女、立ち止まって、男を見る。
男、女の視線に気づき、立ち止まって女を見る。
■愛とは?
男と女、立ち止まったまま。
空を見上げる。
そこには星空が広がっている。
女「愛とは何だろうか?」
女「愛し合うとは何だろうか?」
女「あなたと抱き合えば、わかると思っていた、愛についての世界の真相」
女「でも、いまだにわからない」
女「愛とは、この世界に存在しているようで、あるようでないものなのかもしれない」
女「でも、だとしたら、私は一体何を信じたらいいんだろう?」
男「愛を信じている。愛の実感がある」
男「だけど、それは一瞬の感触で。後は虚しさばかりが漂う」
男「なんだろうこの感覚。そこにあると見えたものは幻のようで……」
男「でも、確かにあると思えるもので、その実感を得たくて、何度も何度も、確かめてしまうのだけれど、つかめない……」
■抱き合う
孤独な空間の中で、
男と女、身を寄せ合う。
男「なあ」
女「ん?」
男「いや……」
女「なに?」
男「なんでも」
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