コメディ「鏡よ鏡」(短編)
【登場人物】
お妃様(女):
鏡の精(不定):
黒子(不定):

【本文】
 
 舞台はお城の地下室。
 中央に横向きの1枚の鏡が置かれている(という設定)。

 舞台の上手・下手は鏡によって分けられ、左右対称の世界になっている。下手は現実の世界。上手側は鏡の中の世界。

 現実と鏡の世界に、1つの段ボールと1つの椅子がそれぞれ置かれ、左右対称の配置になっている。

 鏡の精、上手の段ボールにもたれて寝ている。

 黒子、下手から登場。黒子は左右の世界の片方の物が動いた時、もう片方の物を動かす役割。基本的に妃、鏡の精には黒子が見えていない。

 お妃、下手からやってくる
 
お妃「鏡よ鏡、鏡さん。この世で一番美しいのはだあれ?」
 
 鏡の精、聞こえていない。
 
お妃「鏡よ鏡、鏡さん。この世で一番美しいのはだあれ?」
 
 鏡の精、聞こえていない。

お妃「鏡よ鏡、鏡さん。この世で一番美しいのはだあれ?」
 
 鏡の精、聞こえていない。

 お妃、鏡の中を覗き込む。
 
お妃 「ちょい……ちょいちょい!……おい!」

 鏡の精、聞こえてない。
 お妃、段ボールを動かすことを思いつく。

 お妃、下手の世界の段ボールを動かす。黒子、上手の鏡世界の段ボールを動かし、鏡の精が起きる。
 
鏡の精「あ、どうも」
お妃「……言ってたんだけど」
鏡の精 「あー、ほんとですか。はいはいはい」

 鏡の精、鏡の前に立つ。

鏡の精「どうぞ」
お妃「鏡よ鏡、鏡さん。この世で一番美しいのは(だあれ?)」
鏡の精「それはお妃様です」
 
 鏡の精、立ち去ろうとする。
 
お妃「ちょいちょいちょい。ちゃんと調べた?」
鏡の精「え?」
お妃「今。なんか適当に言ってなかった?」
鏡の精「そんなことないですよ」
お妃 「あるでしょ。いやね。最近早くなったとは思ってたのよ、調べるの。でも効率化っていうか、企業努力的な感じでスピーディーになっているとこっちは解釈してたわけね。でもさすがに今のは早すぎるわ!違和感のある早さだったわ!」
鏡の精 「(ため息)」
お妃「待て待て待て」
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