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シーン０
　　　舞台を上下に二分割する壁がある(茉莉奈・薫二人が持つ心の壁)。キャラ同士で隔たれている時は心を開いていない時。
　　　雨のシーンではシンプルに屋内と屋外の表現
　
　　　緞帳アップ後、上手単サス
　　　茉莉奈、自信満々に上手へくる
　
　茉莉奈　「日野山茉莉奈。十八歳。高校三年生。将来の夢はメイクアップアーティストになること！」
　
　茉莉奈　「でも、今は」
　
　　　下手、単サス
　　　下手に母がいる
　
　茉莉奈　「どうしてわかってくれないの」
　母　「あなたが心配だから！　バイトも遅くまでやって、そこまでして入りたい学校なの？　そこまでしてやりたいことなの？」
　茉莉奈　「そうなの、これが私のやりたいことなの」
　母　「本当に？　後悔しない？」
　茉莉奈　「わかってくれないならもういい」
　母　「茉莉奈。私はあなたに苦労してほしくなくて――」
　茉莉奈　「もういい！　そんなのお母さんのエゴでしょ。私はお母さんの思い通りになんかならない！」
　母　「一回落ち着きなさい。頭が冷えたらまた話聞くから」
　
　　　母、退場
　　　下手暗転
　
　茉莉奈　「なんで否定するの」
　
　　　上手暗転
　　　茉莉奈、退場
　　　薫、下手にはいってくる
　
　薫　「須藤薫。十七歳。高校三年生。将来の夢は……今のメンバーとでかいとこでライブ、とか？」
　
　薫　「でも、今は」
　
　　　上手明転
　　　上手にヤマトが居る
　
　ヤマト　「あのさ、最近練習キツくないか」
　薫　「だってあと一年だけだろ。みっちりやらないと」
　ヤマト　「でもさ」
　薫　「俺明日スタジオ借りてるからさ、ヤマト、明日は絶対――」
　ヤマト　「でもさ！　もう三年生だぞ。そろそろ勉強始めないと」
　薫　「そうだ、俺たちあと一年しかないんだ。だからこそ悔いなく生きたい」
　ヤマト　「みんながみんなそんなふうに思ってないよ。俺、来週から塾通うからこれからあんま行けないわ。明日のは行くから」
　
　　　ヤマト、退場
　　　上手暗転
　
　薫　「待てって。……ああ！」
　
　　　茉莉奈、上手に入ってくる
　　　上手明転
　
　茉莉奈　「あと少し踏み出すために足りない、なにか」
　薫　「本当に叶えたいものを見つけるためにしなきゃいけない、なにか」
　
　薫・茉莉奈　「俺(私)はあと、何が足りないんだろう」
　

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