オーラリーと壺と3人のお兄ちゃん
「オーラリーと壺と3人のお兄ちゃん」
語り部
オーラリー
オスカー
イケメンオスカー
筋肉オスカー
テレサ
お母さん
※(お父さんは出稼ぎに行ってて登場しない)
語り部:ある日、玄関で何かが割れる音がしました。オスカーが駆けつけると、そこには割れた壺がありました。
オスカー:あっ!お母さんが大切にしていた壺が割れちゃってる!どうしよう。
語り部:オスカーは慌ててとっさに割れた壺を隠しました。そして町で噂の、壊れた物を泉に投げると何でも直してくれる女神がいるという話を思い出しました。
オスカー:えっと、確か町の外れの森の泉だっけ。お母さんに壺が見つからないうちに行ってみよう。
語り部:オスカーはお母さんに内緒で町の外れの森へ行きました。
語り部:オスカーは割れた壺を抱えて森へ向かいました。
オスカー:えーっと街道沿いを少し進んで、看板があるところを左に曲がって進んでいくと…………。あーっ!泉あった!
語り部:泉にたどり着き、割れた壺を泉に投げ入れました。
オスカー:それ!
語り部:すると、神々しい光りとともに泉から女性が出てきました。
オーラリー:私はこの泉の女神。オーラリー。あなたが落としたのはこの銀の壺ですか?それともこの金の壺ですか?
オスカー:確か正直に言わないといけないんだよな……。女神さん、僕が落としたのはどちらでもありません。
オーラリー:正直なあなたにはこのダイヤモンドでできた壺をあげましょう。
オスカー:女神さん、違うんです。僕は泉に投げた壺を直して欲しくて…
オーラリー:なんですって!?泉にわざと物を投げたのですか。
オスカー:えっと、それは……。
オーラリー:嘘をついたあなたにはこの泉に沈んでいただきます。
オスカー:うわっ!なにするんだ!離せ!
語り部:オーラリーがオスカーの腕を掴んだ瞬間、オスカーの後ろから女の子が突然現れました。
テレサ:待って!お兄ちゃん!女神さん!違うの!壺を割っちゃったのは私なの!
語り部:テレサはオスカーが森へ向かうのを後から着いてきていました。
テレサ:女神さん、お兄ちゃんを離して!泉に連れていくなら私を連れてって!
語り部:テレサはオーラリーに引っ張られるオスカーの反対の腕を掴んで引っ張ります。
オスカー:テレサ、離すんだ!お前まで泉に連れてかれてしまう!
テレサ:嫌よ!お兄ちゃん!
語り部:でも、か弱いテレサの力じゃオーラリーの力には敵わず、オスカーの腕から振り払われてしまいました。
テレサ:あっ、お兄ちゃん!
語り部:オスカーは泉に落ちてしまいました。しばらくすると、泉から何か出てきました。
オーラリー:あなたが落としたのは、この誠実でイケメンなオスカーですか?それともこちらの、筋肉ムキムキで力強いオスカーですか?
テレサ:いいえ、どちらでもありません。
オーラリー:正直なあなたにはこの2人のオスカーを差し上げましょう。
テレサ:女神さん、違うんです。こんな2人は要らないからお兄ちゃんを返してください。
イケメンオスカー:どうしたんだい?マイリトルシスター。僕が君のお兄ちゃんだよ?
筋肉オスカー:妹よ見てくれ、この俺の力強さを!
テレサ:いや!女神さん、お兄ちゃんを返して!
オーラリー:ふぁーあ(あくび)。日が沈んできたから眠くなっちゃった。今日は店じまいでーす。またねー。
語り部:オーラリーは泉の中に消えてしまいました。
テレサ:明日、日が昇ったらすぐに泉に来なくちゃ。お兄ちゃんを助けなくちゃ。でもこの2人どうしよう。
イケメンオスカー:さぁ可愛い妹よ。僕と一緒に家に帰ろう!
筋肉オスカー:今日は寝るまでお兄ちゃんとマッスル体操だ!
テレサ:ママになんて説明しよう……。
語り部:テレサは仕方なく2人を連れて帰りました。
語り部:そして3人は家に着きました。
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