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デスゲーム

板付きで上手手前に仮面をつけた男が1人椅子に座っており、その後ろに側近が立ってい
る。舞台中央には年配の男女4名が客席に顔が見えない状態で横たわっている。構成は男
性2人、女性2人。やがて上手のスポットライトがつく

ゲームマスター　くっくっく、退屈な日々に飽きた狂人共よ。私は今から行うデスゲーム
の主催者、マスターTだ。貴様らにはこれから、最高に残酷で血生臭いショーをお届けし
ようではないか！人間の醜さと愚かさを存分に味わうがいい！
側近　　　・・っはいカットー！いい感じですねマスター！
マスター　当然だ。私はマスターTだぞ
側近　　　かっけえっす。この後もこの調子でお願いします。
マスター　あぁ。さて、プレイヤーたちもそろそろ起きる頃だ。くっくっく、地獄の時間
の幕開けだ。
側近　　　ワクワクしてきましたね。
マスター　私にとっては今日がデスゲーム運営としての初仕事だ、失敗は許されない。
側近　　　わかってます。準備はバッチリですから。
マスター　本番も抜かるなよ。
側近　　　はい！
マスター　ところで、お前が捕らえてきたと言う参加者はどんなやつらだ？
側近　　　何度も言ってるじゃないですか。それは、幕が開けるまで秘密です。
マスター　何故そんなに頑ななのだ・・まぁいい。どんなやつらでも、最高に絶望した表
情を引き出してやろう。
側近　　　ひゅー！マスターかっこいい！
マスター　では始めよう。(正面を向く)・・はーっはっは！お待たせした諸君。ゲームを
始めよう。今宵、命を燃やすのはこいつらだ・・存分に楽しむがいい！(指を鳴らす)

地明かりが点灯。男性の1人が目を覚ます

良造　　　う、うーむ・・ふぁーあ。おーい聡子さんやー、夕飯はまだかーい？・・ん？
あんれまー源さん、房江ちゃん、トメさん、みんな何でワシの家で寝ておるんじゃー？
マスター　は？
トメ　　　ふみゃふみゃ・・(起き上がる)うーん、あれまー良造さん、すまないねぇ寝て
しまったみたいで。
良造　　　いんやぁ気にせんでいいさぁ。(良造とトメ、世間話をしている)
マスター　おい。
側近　　　はい。
マスター　何だこれは。
側近　　　はい？
マスター　何故お年寄りを捕らえてきた。
側近　　　新しくないですか？
マスター　新しいけども！ダメだろ老人じゃ！
側近　　　何故です？
マスター　聞いたことないわ老人同士のデスゲームなんて。デスゲームって言うのは基本
的に若い人間でやるものなの！
側近　　　というと？
マスター　明るい将来がある、チャレンジ精神が旺盛で愛する人がいる、そういう可能性
の満ち溢れてる人間が散っていくからデスゲームは人気なの！お年寄りばかりじゃそうい
うの少ないだろ。
良造　　　おーい聡子さんやー夕飯はまだかーい？
トメ　　　良造さん、夕飯はさっきみんなで食べたでしょうがね。
良造　　　そーじゃったか？
マスター　あんな調子じゃデスゲームっていうものの内容を伝えるのも厳しいだろ。
側近　　　それはマスターの腕の見せどころですよ！
マスター　こいつ・・。
良造　　　トメさん、房江ちゃんを起こしておくれ。ワシは源さんを起こすから。
トメ　　　はいな。房江ちゃん、房江ちゃんや。
良造　　　おーい源さん、もう朝じゃて。
房江　　　・・んん。
トメ　　　おはよう、房江ちゃん。
房江　　　・・(耳が遠い)ん？
トメ　　　(全く同じトーンで)おはよう、房江ちゃん。

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