国王と私
題名「国王と私」

登場人物
ローポッツォ

国王
マーチェラッタ
田中
真由美
(ローポッツォ以外、同じ人物が演じる。二人劇である)


第一場 国王の城

    国王、たたずんでいる。
    そこに、ローポッツォ(以降「ロー」と表記する)、入ってくる。

ロー 国王! 国王!
国王 おお、ローポッツォではないか、どうしたんだ。そんなに息せき切って
ロー 国王! 
国王 すごい剣幕ではないか
ロー 国王、また増税とはどういうことですか!
国王 先の戦争で国の財政も傾いてきた。仕方のないことだ
ロー そんな、これまでの税を納めるだけでも領民は苦しみを隠せなかったのです
国王 ローポッツォよ、何もお前の領にだけ税を増やしているわけではない。それにほかの領主たちはしっかりと税を納めている
ロー しかし、国王。私の領は他の領主たちの治めている領地に比べ、耕す田畑も少なく、栄養の少ない土地です。他の領地と同じ税を課せられても到底……
国王 何を言っているのだ、ローポッツォ。それは領主である君の責任ではないのか? 
ロー それは、どういうことですか?
国王 私は国王、国王とは国を治めなければならない。そして国民、領民は税を納めなければならない。では、ローポッツォ、君のような領主は何をしなければならない?
ロー りょ、領主は、領主は……
国王 納めた税を届けなければならない、わかるか、私にだ。いわば領主は私と民の間の中間管理職、板挟みになっている、その心中はお察しする。
ロー そ、それなら
国王 それはできない。ローポッツォ、お前の領主としての活躍は耳にしているぞ。心優しい領主様、領民の味方となあ。それでうれしいか、それで満足か
ロー どういう意味です
国王 貧しい領民を守り、慕われ、民のために権力にも立ち向かう。まるで英雄のようだ。小さな領内で英雄扱い。それはさぞ満足だろうな
ロー なにが言いたい
国王 私に言わせれば君は悦に浸っているだけだ。自分の領内に帰れば口を開けてエサをただ待つ間抜けな鯉のように領民はお前を迎え入れる。その池でお前は貧しき領民の英雄という肩書に満たされているのだ。さぞ、住み心地がいいだろうな
ロー なんですと
国王 何を怒っている、図星であったか
ロー そんなことはない。私は……
国王 そうか、そんなことはない。君はそういうのだな。では、君にいい話がある。あのタバサ領領主である君にしか頼めないことだ
ロー な、なんでしょうか
国王 タバサ領には、貧しくはあるが、子供がたくさんいると聞く。それは確かか
ロー ええ、わが領内の家族は皆、子宝に恵まれています
国王 その子供たちを国に提供しろ
ロー 今、なんと
国王 貴様の領内の子供を提供しろと、そういったのだ
ロー なんだと
国王 我が城下町では、労働力が不足していてな。使い勝手のいい子供が特にほしいのだよ。君の領内の子供を提供してくれるのなら、その子供の働いた利益はその親に行く。そしてその親から君は税を徴収する。どうだウィンウィンではないか。素晴らしい。その税を君が私に納めれば、この国はもっと繁栄する。
ロー 国王、貴様、国民を、人をなんだと思っている!
国王 これも国王である私の務め、国の繁栄のためだ。なに、使えなくなったら領に戻してやるさ。
ロー 貴様!

    ローポッツォ、剣を抜こうとする。

国王 ほう、抜くか! 貴様、中間管理職の分際で私に剣を抜くか
ロー 人を人とも思わぬものの、なにが国王か!(抜く)
国王 ひっとらえろ! ローポッツォが剣を抜いた。直ちにひっとらえろ!

    ローポッツォ、捕まり跪く。
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