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再びの、生きがい

劇団ねこのバロン第二回公演脚本　

「再びの、生きがい」

　　　　　　　　　　　　　　作・折笠安彦
人　物
田島正一（６８）リタイヤ組・さんちゃん
田島悦子（６８）正一の妻・髙橋さん
吉岡加代（４３）正一、悦子の娘・会美ちゃん
吉岡光彦（５０）加代の夫・折笠
吉岡理恵（２１）光彦加代の長女・由紀ちゃん
吉岡梨沙（１７）光彦加代の次女・ゆっこちゃん
田所健二　警察署員（声）・松尾崇さん
アナウンサー（声）・静稀香那さん

○吉岡家居間
上手にダイニングテーブルと椅子が２脚。
中央にソファーとローテーブル。

○田島家居間
上手にダイニングテーブルと椅子が２脚。
中央にソファーとローテーブル。両家の違いはソファーカバー色、花の飾りなどで区別。

○シーン１　吉岡家居間（朝）
明転後、朝のSE
吉岡加代（４３）が旅行カバン、コンビニの袋を持って入る。腕時計を見ながら忙しそうに出入り。
加代「ちょっとパパ。起きているの？出発まであと３０分なのよ。早く支度してよ」
吉岡光彦（５０）の眠そうな声。
光彦「はーい、わかってるよ。今起きるところ」
加代「あきれた！これから起きるの？早くしてよね」
光彦「大丈夫」
加代「全く何が大丈夫なのかしら。こっちの方が大変なのよね。理恵！梨沙！起きてるの？もうすぐ出発よ！」
返事がない。
加代「（大きく息を吸って）理恵！！梨沙！！早く起きろ、こら！！」
吉岡理恵（２１）、吉岡梨沙（１７）の声。
理恵「はい！ただいま！」
梨沙「お、起きてますよ」
加代「早くしてよ！」
光彦、パジャマ姿で出る。
光彦「おはよう」
加代「おはようって、もうすぐ出発なんだから着替えて来なきゃだめだと思うんだけど」
光彦「あ、そうだった。その前に腹減ったな。なんか食べるもんないの？」
加代「そういうのはね、ちゃんと着替えた人が言う台詞だと思うけどな。それに、家で食べてると出るの遅くなるから、コンビニでパン買って車で食べるよってこれ昨日言ったんだけど」
光彦「えー、運転しながら食べるの？危なくない？」
加代「（つぶやく）パパの普段の運転の方がよっぽどあぶないわ」
光彦「えっ、何？」
加代「ううん、何でもない。信号待ちのたびに食べれば大丈夫よ」
光彦「信号がスムーズだったら食べられないじゃん」
加代「・・・いいから、早く着替えて！」
光彦「はいはい」
光彦、出る。
入れ替わりに、理恵と梨沙がパジャマ、または部屋着の格好で入る。髪は起きたばっかりの感じ。
理恵「（あくびしながら）おはよう」
梨沙「（あくびしながら）おはよう」
加代「あちゃー、もうちょっとあんたたち、そんな格好で行くわけ？」
理恵「いやいやまさか。だって朝ごはん食べてから行くのかなって思ったんでこのまま出てきたんだけど」
加代「朝ごはん食べてると遅くなるから、コンビニのパン買って、車の中で食べるからねって夕べ話したんだけど、聞いてなかったの？もう！うちの連中ときたら・・・」
梨沙「あ、そんなこと言ってたわ」
理恵「えっ、言ってた？」

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