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母と娘とやぶれたぁ

『母と娘とやぶれたぁ』

【登場人物】２名（女性２）

母：可愛くてちょっと変な母。主にボケ。
娘：ナオ。中学生。主にツッコミ。

【上演時間】２０～３０分

【あらすじ】

　「どうしてお父さんと結婚したの？」
　そんな娘の一言から始まる、母と娘の恋バナ。

【本編】

娘：お母さん、ちょっといい？
母：どうしたの？
娘：聞きたいことがあるんだけど。
母：何よ？
娘：あのさ、どうしてお父さんと結婚したの？
母：……ああっ！
娘：え、なに、どうしたの？
母：（涙ぐむ）ああああ……。
娘：お母さん、なんで泣きそうな顔して震えてるの？
母：ついにキターーー！
娘：なに、なんなの⁉
母：その質問をずっと待ってた。いつ聞かれるのかな、いつ聞かれるのかなって、ずっと思ってたの。やっと夢が叶った。
娘：そんな大げさなことなの？
母：そうよ！　その質問が来た時になんて答えようか、ナオが産まれた時からずっと考えてたんだから。
娘：そうだったの⁉　あ、１３年も待たせてごめんなさい。
母：謝ることないわ。もしかしたら、一生聞かれないんじゃないかって思ってたから。その質問はね、子供が産まれた時に「いつか聞かれるだろうな。その時はなんて答えよう」って悩む質問の、２つのうちの１つなのよ。
娘：そんなのあるんだ。ちなみにもう１つってなに？
母：教えて欲しいの？
娘：うん。気になるし。ちなみに私、もう１つの質問のほうは聞いたことあるの？
母：ないわね。
娘：なかったか。ごめんなさい。
母：だから謝ることないって。お母さんだって、こっちから催促するのもどうかなぁと思って黙ってたんだから。
娘：で、そのもう１つって？
母：いい機会だから教えてあげる。「赤ちゃんってどうやったらできるの？」これよ。
娘：あー。
母：「私、弟か妹が欲しい」このパターンもあるわね。
娘：私、言ったことなかったっけ？
母：一度もなかった。お兄ちゃんもよ。ナオは小さい頃からお兄ちゃんと仲良しだったから、弟とか妹はいらなかったのかもね。
娘：そう言われると、言ったことなかった気がする。
母：じゃあ、今、言ってみて。
娘：「赤ちゃんってどうやったらできるの」って？
母：もっとちゃんと言ってよ。
娘：もう知ってるよ。
母：え？　誰に教わったの？
娘：保健体育の授業で、この前。
母：えっ、中一でもうそんなこと教えてもらうの？　早くない？
娘：早いか遅いかは知らないけど。
母：お母さん、聞いてない。ちょっと先生に文句言ってくる。
娘：やめてよ、恥ずかしい。
母：あなたが産まれた時からどう答えようかずっと考えてた大切な質問なのよ。その楽しみを学校の授業だからって勝手に奪うなんて許せないでしょ！
娘：お母さん、落ち着いて。私が悪かったのよ。
母：ナオは悪くないわ。
娘：私が悪いの。その授業の前にお母さんに聞いていたら、こんなことにはならなかったんだから。
母：そうよね。なんで聞いてくれなかったの？

1/5

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