洒落
『洒落』
【あらすじ】
独りで酒を飲む男の部屋に、幽霊が上がり込んできた。生意気で口の利き方も分からないガキみたいなヤツの言葉からは、酸いも甘いも知らないような危うさが感じ取れた。毎日がつまらないなんて、またつまらないことを言う。洒落のひとつにもならない。
【登場人物】
・男……お酒は強いほう
・幽霊(男)……事故死。白装束と三角頭巾。
【背景】
男の部屋。中央に平たいテーブル。
【本編】
深夜。テーブルに酒やつまみが置いてある。男が余分を持って舞台に入ってくる。テーブルに置く。
男「よし。これで準備万端だ。いやあ、しかし疲れた疲れた。肩が凝っていけねえ」
男「たまには家でのんびり、独りで酒宴を張るってのも、寂しくていい。独りでなきゃできねえってのも、背徳感があって上等だ。この寂しさをかみしめて、一杯」
コップを傾ける。
男「ああ。染みるねえ」
幽霊が入り込んでくる。部屋を物色した後、テーブルの上に乗る。
男「リモコンどこ行ったっけな。あれ? おっかしいなー。ここに置いといたはずなのに」
幽霊「テレビのリモコンですか」
男「そうそう」
幽霊「ここにありますよ」
男「ああサンキュー」
幽霊「いえいえ」
男「どの番組もつまんねえな。なんかオススメねえのか」
幽霊「木曜日ですか。特には無いですね」
男「なんだお前。普段からテレビ見ないのか」
幽霊「家にテレビ無くて」
男「必需品だぞ。暇を持て余してるんじゃないのか」
幽霊「動画漁ってれば充実するんですよ」
男「インターネットのか?」
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