シフト
シフト 作/コタロウ
・一(ニノマエ) 男性。高卒のフリーター。
・零(レイ) 女性。文学部に所属する大学生。
・初命(ハジメ) 男女どちらでも可。教育学部に所属する大学生。
・店長 男女どちらでも可。五十歳ぐらい。
シーン1 バイトはじめ
幕が開く。明転。ここはコンビニの事務室。一、椅子に座り、スマホを眺めている。コ
ンビニの入口のチャイムの音が鳴る。少しして、事務室に零が走り込んでくる。
零 すみません!遅れました!
一 うわぁ!
一、 驚いて椅子から派手に転げ落ちる。零、一に駆け寄る。
零 だ、大丈夫ですか!?
一 いててて……。だ、大丈夫ですよ。
零、 手を貸す。一、その手を借りて起き上がる。
零 驚かせてしまって、申し訳ありません。……あ、自己紹介がまだでしたね。今日
から夕勤のシフトで働かせていただくことになりました、零と言います。よろし
くお願いします!
一 あ、えっと……。一です。自分も今日からここで働くので、よろしくお願いしま
す……。
零 じゃあ、同期ってことですね!
一 あ、そう、ですね……。
気まずい雰囲気が流れる。
一 えっと、店長がまだ来ないようなので、バイト始まるまで、少しゆっくりしてい
ましょうか……。
零 そうですね……。
零、はける。舞台の袖が明転する。そこにはクローゼットがある。零、コートを脱いだ
り、靴を履き替えたりする。
零 ……あれ?制服ってどこですかね?
一 店長が持ってくるそうです。
零 あ、そうなんですか……。
袖が暗転、零戻ってくる。二人、椅子に座り、スマホを眺め始める。空気に耐え切れな
くなった零が口を開く。
零 あ!その眼鏡!
一 め、眼鏡?
零 カッコイイですね!
一 え?……ああ。
一、 眼鏡を外す。
一 まあ、特にブランドものというか、高価なワケではないんですけど。……なん
か、デザインが気に入って、たまたま買っただけ、っていうか……。
零 凄く似合ってます!
一 あ、えっと……。ありがとう、ございます。
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