999
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ダン……最近ゴーストになったばかりの新人。
サリー……天真爛漫なゴースト。
ティム……人間の頃の記憶をもつ、賢いゴースト。みんなから一目置かれている。
カレン……みんなのお姉さん的ゴースト。ティムのことが好き。
ダン 『僕は林を抜け、とある小さな村に迷い込んだ。そこにあった小さな家の溢れんばかりの薔薇が咲き誇る庭園に彼女はいた。』
サリー 綺麗に咲いているでしょ?
ダン 『彼女は僕の方を見て言う』
サリー まるで、花束のよう。
ダン これだけの薔薇であれば、大きな花束が作れそうだ。
サリー 素敵ね。999本がいいわ。
ダン どうしてそんな中途半端な数なの?
サリー 「何度生まれ変わってもあなたを愛する」
ダン え?
サリー 999本の薔薇の花束の意味。素敵じゃない?
ダン 『そう言って、僕の顔を真っ直ぐに見つめる彼女。僕はしばらくの間、世界中の時が止まったのではないかと錯覚した。僕はこの時すでに、恋に落ちていた。彼女に……薔薇にも負けない、美しくも、眩しい笑顔を振りまくサリーに』
ティム 『人は死んだらどうなるのか。生きている上で誰しもが考えることであろう。天国や地獄へ行くのか。はたまた死んだ後は何も感じることのできない、無の世界なのか……それは生きている人間には知り得ないことだ。しかし、俺はそれを知っている。人は死んだらゴーストになる……まあ人類が皆、ゴーストになるわけではない。世界的に見ても、一部の土地に限った現象である。ここ、スート村もそういう類の土地だった……らしい。スート村に住む人間には、死んだらゴーストになってしまうという呪いのようなものがかけられていた。
ゴーストたちには、人間であった時の記憶はない。ゴーストになってしまうと生きていたときに感じていた悲しいこと、苦しいこと、そして楽しいこと……その全てを忘れてしまう。しかし当のゴーストたちはそんなことを気にすることなく、気ままに、呑気に暮らしている。』
(墓地。朽ちた墓標の下からゴーストのダンが出てくる)
ダン ふぁああ。よく寝た。なんだ・・・・・・今の・・・・・・夢?
(墓地から出て歩き出す)
サリー あら、ダン。ごきげんよう。今日は星が綺麗ね。
ダン やあサリー。今日はご機嫌だね。
サリー あら。私はいつだってご機嫌よ。
ダン それはそうだ。
サリー 今日も行くんでしょ?あそこへ。
ダン ああもちろん。他にやることもないしね。
サリー そんなこと言わないで。せっかくなんだから楽しみましょうよ。
ダン 君はいつでも前向きだよね。
サリー そうかな?
ダン そうだとも。
サリー まあいいわ。じゃあ、私は先に行くわね。あとでまた会いましょう。
ダン うん。またあとでね。
ティム 『ゴーストたちは人間とは違い、月が昇る頃に目を覚ます。ただあてもなくふらふらと彷徨うだけの彼らは、村の廃墟に集まり、毎晩毎晩お祭り騒ぎを繰り返す』
ダン やあティム。今日も相変わらず退屈そうな顔をしているね。
ティム お前にだけは言われたくないな。というか会って早々にする挨拶がそれか?
ダン いいじゃないか。僕と君の仲だろ?
ティム そんなに付き合い長くないだろ?お前ゴーストになってそんなに日が経ってないじゃないか。
ダン 君は僕の名前を知っていた。それだけで十分信頼できる友人だと思っているけど?
ティム それだって俺が嘘をついてるかもしれないじゃん。
ダン 君はそんなつまらない嘘はつかないよ。そんな嘘ついて一体なんになるんだ?
ティム 君に好かれるため・・・・・・とか?
ダン なんだそれ?ゴーストになったばかりの僕に好かれるメリットなんてあるか?
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