落語台本「地獄八景亡者戯もどき」
ー原発のゴミ処分場を地獄にー
「地獄八景亡者戯もどき」
−原発のゴミ処分場を地獄に?−
2013.11.25(初稿)
2014.6.22 (改稿)
【まえがき】
3.11の原発事故が起きて、原発ってこんなに怖いモンかと思いましたが、
そもそもウラニュウムたらいうもので発電をするちゅうことに、いろんなむずかしさが
あるみたいで、その最たるものが、出てくる廃棄物の処分場がない、ということらしいですな。
最近になって、小泉元首相も、それが理由で原発ゼロを言うたはりますが、誰が考えてもそうなります。
最終処分場をどこにするか、もっていきどころがない。
どえらい金をつけて、立候補地を募集しましたが、一つもありませんでした。
もう、こうなったら思い切って、地獄にでも持っていくしかない、
そんなとんでもないことを考えた官僚がいたはったんですな。
ここからが、もし、という仮定の話になります。もしほんまに地獄に最終処分場を持っていくとしたら
どういったことになるのか。
そんな想定を落語にしたのがこの台本です。
実際に演じるのはむずかしいかもしれませんが、せめて読んで楽しんでいただけたら幸いです。
では、はじまりはじまりぃ。
【出囃子】
♪♪♪♪♪
【まくら】
えー、・・・です。よろしくお願いします。
この日本の政治を、底の所で動かしたはるのは、官僚といいますな。
政治家が、こうしたいというたら、たちどころにこういった方法がありますと進言する。
もしかしたら、政治家にこんなふうにさせたいということをじんわりと勧めて、自分の思うとおりに
国を動かしてゆく、そんな官僚もいたはるかもしれまへんな。
ところが、日本の官僚さんには、大胆な発想がないとか言われてます。
受験勉強で答のある問題をはよ解くように訓練を重ねてきてますから、新しい発想には
むいてないということですかな。
今の日本には答のない問題がいっぱいですから、というより答のない問題ばっかりやから、
困ってはるんですな。
せやけどそんな官僚ばっかりやおまへん。
中には一風変わった官僚はんもいてはって、答のない問題に、
むりやり答を見つけてきやはるかもしれまへんな。
今日のお話は、そういったところで一席をおうかがいいたします。
(見台を小拍子でパチンと打つ)
(大臣室での会話)
えー、フクシマの事故があってから、原発のゴミをどうするかというのが、
大問題になっておりますが、むずかしいですな。まず処分場を引き受けてくれる市町村がありませんな。
原発担当の大臣が秘書さんに、
大臣 「きみ、どこか適当な場所がないかね。
再処理するにしろ、ゴミ処理をするにしろ、最終処分場がなくては、原発を続けることはできんからね。」
秘書 「はあ、大臣、国内ではもう無理かと思います。フクシマ以来ますます難しくなってきています。
地震の心配がなく、岩盤が安定していて、地下水も漏れてこない、そんなところは、
もう国中くまなく当たってみましたがありませんな。
なにしろ十万年くらい埋めておかなければなりませんから……
もし仮にあったとしても、地元の市町村が受け入れないでしょう。大金つけて調査だけの募集をしても
一つの申し込みもありませんでしたからな。」
大臣 「きみ、そんなことはわかっとるんだよ、そこを何とかするのが、
君たち官僚の役目じゃないのかね。
最終処分場を探してくれば、その施設に十万年は天下りできることになるんだよ。」
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