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トマトから始まる友情があったって良いじゃない！

トマトから始まる友情があったって良いじゃない！　
黒野しおり
　　　　　　　　
大根　もなか　(おおね　もなか)
水戸　真永美　(みと　まとみ)

１、始まりのトマトは登校中

舞台後方に椅子と机が二つずつ置いてある
今は登校中。前の方のスペースで演じる

もなか　いきなりですが、客席のみなさん。私の名前は大根もなか。大きい根と書いて大根。みんなにはダイコンと呼ばれている。
……ひどくない！？だいこんだよ！？馬鹿にしているにも程があるでしょ。
……あとですね、皆さん劇のタイトルから察すると思うんですけど。私、トマト大好きなんですよ。えへへへへ。
ほんと人生捧げてもいいくらい。それなのにあだ名はダイコン。みんなにはトマトマスターもなかと呼んでくれと言っているのに。
くっ。世の中、世知辛いものです。辛み大根だけに。ふふふふっ。……え？そんなことよりお前の持っている?トマトジュースが気になるって？
いや〜実はこれは私のマストぉアイティムでして――

会話の途中でいきなり真永美がぶつかってくる。倒れる真永美。
ぶつかった際にもなかのトマトジュースがかかったようで、真永美は真っ赤に染まっている

もなか　ええええええ！なにこいつ。ドジっ子？ってかなんか赤い！？もしかして鼻血？ちょっとどうしよう。
大丈夫ですか？おーい！……って。あれ。もしかしてこの匂いって……

もなか、赤く染まった部分を手に付けて舐めてみる

もなか　これは……トマトジュース
真永美　う、うーん
もなか　あ、気づきました？
真永美　……うわぁぁぁぁぁ！？なんか赤い！？え？血？もしかして鼻血？どうしよ
……あれ、もしかしてこの匂いって……これは、トマトジュース……うわっ。まじ最悪
もなか　あの、大丈夫ですか？もう。びっくりするじゃないですか。気を付けてください
真永美　いやいや。道の真ん中で一人で喋ってるあんたが悪いんでしょ！？
もなか　観客の皆さんの疑問を解消しようと思って
真永美　え？
もなか　でも、朝から顔と服にトマトジュースくっつけて歩いているなんて。変わった人ですね
真永美　どう考えてもあなたのトマトジュースがかかったんだと思うんだけど
もなか　え？
真永美　え？
もなか　いや。ちょっと理解できなくて
真永美　だーかーら！あなたの、手に、持ってる、トマトジュースが、ぶつかった拍子に私にかかったの！
もなか　え？トマトジュースで顔洗ったんじゃないんですか？
真永美　何言ってんの？
もなか　そのまま顔拭かずに歩いてただせぇ奴なのかなって
真永美　……なんかめんどくさい奴に会っちゃったなぁ
もなか　そういう趣味をお持ちの変な方なのかなって
真永美　どんな趣味よそれ
もなか　私トマト好きなんですけど、さすがに顔洗ったりしません……。ドン引きです
真永美　なに私がその手の趣味をお持ちの方みたいな流れで話進めてんの？
もなか　恥ずかしがらなくてもいいんですよ？
真永美　恥ずかしがってなんかないわよ。っていうかね、私トマト嫌いなの。
あの中身がぐちょぐちょしてて、変な味するやつのこと考えるだけで寒気すんの！
もなか　え……。あなたトマト嫌い……？
真永美　嫌い。この世からなくなればいい
もなか　あなた、それ本気で言ってるの？
真永美　はあ？そうだけど？
もなか　ちょっと、これからみっちりトマトについて語らせて貰うわ
真永美　いや。何言ってんの？
もなか　大根もなか……いや、トマトマスターもなかの名に懸けて！
真永美　……あなた頭大丈夫？

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