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人違い

「　人違い　」　　　作：つむぎ日向

小道具　　：　スマホ（２）　・　イス
登場人物　：　ＡとＣは兼役でも可。

本編
　　　開幕。
　　　駅前。
　　　Ａは待ち合わせの為待っている。少し離れた所にＣが座っている。
　　　そこにＢが通りかかり、Ａの顔を見ておずおずと話しかける。

Ｂ　「あの、すいません」
Ａ　「はい？」
Ｂ　「人違いだったら申し訳ないんですけど……俳優の上杉さんじゃないですか？」
Ａ　「あ、違いますよ」
Ｂ　「あぁ、すいません。プライベートな時間ですよね」
Ａ　「そういうことじゃなくて、ほんとに」
Ｂ　「大丈夫です。「駅前で俳優の上杉居たんだけどｗ」とかＳＮＳに投稿しないんで。安心して下さい」
Ａ　「「ｗ」が気になるけど……本当に人違いなんで」
Ｂ　「分かってます、分かってます」
Ａ　「分かってないでしょ」

　　　Ｂ、Ａの言葉を信じずに続ける。

Ｂ　「僕、上杉さんの大ファンなんです」
Ａ　「はぁ……」
Ｂ　「この前も出演されてた映画、テレビで見たんですよ。初めて見たんですけど、もう感動しちゃって」
Ａ　「あぁ……映画館では見てないんですね」
Ｂ　「そういえば！昨日クイズ番組にも出てましたよね！たまたま回したら出てたんで、もう嬉しくて」
Ａ　「たまたま……」

　　　Ｂ、やはり聞かずに続ける。

Ｂ　「すいません……あの、サインとかって」
Ａ　「だから、本人じゃないんで」
Ｂ　「そうでしたそうでした」
Ａ　「信じてないでしょ……」

　　　Ｂ、またおずおずとＡに話しかける。

Ｂ　「あの」
Ａ　「はい？」
Ｂ　「実は僕、上杉さんと同じ高校の後輩なんです」
Ａ　「はぁ」
Ｂ　「上杉さん、楠南高校ですよね」
Ａ　「え？」
Ｂ　「僕、上杉さんとは二個下なんですけど、同じ野球部で」
Ａ　「……」
Ｂ　「僕のこと、覚えてたりしないですよね？」
Ａ　「えっと……」
Ｂ　「あぁ良いんです良いんです！野球部人数多かったですし……ただ、芸能人が僕のこと知っててくれたら嬉しいな～って思っただけで」
Ａ　「はぁ……」

　　　Ｂ、また話しかける。段々イライラしてくるＡ。

Ｂ　「あの」
Ａ　「はい？」
Ｂ　「これから誰かと会うんですか？」
Ａ　「え？」

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