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虹とゴリラ

虹とゴリラ

峰内　武光・作
二〇二二年一二月一五日　第一稿
二〇二二年一二月二四日　第二稿
二〇二三年〇一月十四日　第三稿（アルコバレーノより改題）

登場人物
小川圭太　おがわ　けいた　　四五歳、コロナ禍で勤務していたレストランが閉店したので、地元に戻って独立を目指す。
神川博幸　かみかわ　ひろゆき　四五歳、圭太の親友で不動産業を営む。
三芳世麗　みよし　せれい　　四五歳、未亡人でバー「波女」の女主人。
鳩山康成　はとやま　やすなり　四七歳、農家では食えず、素材だけオーガニックのファミレス「ゴリラ食堂」を開店。
三芳聖奈　みよし　せな　　　十七歳、世麗の娘。
鳩山奈穂　はとやま　なほ　　十七歳、康成の娘。
登場しない人物
康成の妻　　　　　　　　　　ハッピー教団幹部の娘。

★照明のキッカケ
☆音響のキッカケ

一場
★客電が落ちる。
☆バスが走り去る音が聞こえる。
　緞帳が上がり始める。
☆自転車のブレーキ音（効果音ではなく実際の音が望ましい）。
　緞帳が上がり切る。
　上手奥と下手奥に白いパネルがあり、真ん中が開いていて大黒幕が見える。
★地明かりは明るく、昼間の屋外。
　圭太が尻餅をついた状態で、聖奈は自転車のストッパーをかけて舞台中央の圭太に駆け寄る。
聖奈　　　すいません、大丈夫ですか？
圭太　　　僕が悪いんです、スマホ見ながら歩いていたもので。あれ？スマホ…？
聖奈　　　あ、ここに！
　圭太と聖奈が転がったスマホに同時に手を伸ばす。先に聖奈がスマホを掴み、その上から圭太が手を握る形になる。
圭太　　　あ…すいません。
聖奈　　　いえ…はい、スマホ。
圭太　　　あ、ありがとうございます。
聖奈　　　この町は初めてですか？
圭太　　　初めて…みたいなもんです。地元の方？
聖奈　　　ええ、（上手奥を指して）この先に住んでるんですけど。よかったら、行き先までご案内しましょうか？
圭太　　　ありがとうございます。でも、この公園の駐車場で友達と待ち合わせてまして。
聖奈　　　どなたと待ち合わせてるんですか？
圭太　　　え？でも、わかるかなあ。
聖奈　　　小さな町ですから、みんな顔見知りですよ。
圭太　　　そうですか？神川博幸って言うんですけど、知ってます？
聖奈　　　神川不動産の？
圭太　　　そうそう！あ、僕は、小川圭太って言います。
聖奈　　　私、三芳聖奈です。
圭太　　　この辺に自販機ありませんか？喉が乾いちゃって…。
聖奈　　　（下手を見て）駐車場を突っ切って、公園の中に行かないとないんですよ。あ、これ、よかったら。まだ飲んでないんです。
　聖奈、ケースに入ったペットボトルを渡す。
圭太　　　悪いですよ。
聖奈　　　慰謝料だと思って、貰ってください。
圭太　　　じゃあ、遠慮なく。ありがとうございました。
聖奈　　　ぶつかられてありがとうって、なんか変ですね。
圭太　　　ああ、変かな？（少し照れる）
聖奈　　　じゃ、私行きますね。

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