マリオネットの後悔
殺し屋シリーズ2部:10話
ホープたちの拠点。
陽が傾き始めた頃、一室でホープとレオが向かい合っている。
顔を伏せたレオが静かに口を開く。
レオ:……本気で言っているのか?
ホープ:私、冗談は苦手。
怒りも悲しみもなく、ただホープを見つめるレオ。
ホープの視線がそっと外される。
ホープ:それが一番合理的なの。
レオ:一人国外に逃げて、名と身分……家族も捨てて安穏と生きることが?
ホープ:……。
レオ:そんなことを俺が納得すると思って言ってるのか。
ホープ:思わない。
レオ:じゃあ……。
ホープ:思わない、けれど。
レオの目を見つめ返すホープ。
ホープ:わかってほしい。
レオ:無駄だ、俺も行く。
いいか、これはもうお前たちだけの問題じゃないんだ。
こうしている間にも俺の家族は次々死んでる。
アッシュの野郎がここまでイカれてるとは思わなかったが……。
あいつらは「ベルトリオ」にしか居場所がない。
だから……戦って取り戻すしかないんだ。
ホープ:……。
レオ:馬鹿だと思うだろう?
だが、奴らは「ベルトリオ」という組織を愛しているんだ。
親父が作り上げたあの場所を。
俺も、そんなあいつらが好きだ。
ボスの器には程遠いかもしれんが、逃げるわけにはいかない。
俺は……親父の息子なんだから。
拳銃を手に取り、懐に収めるレオ。
レオ:……心配するな。金ならちゃんと払うさ。
俺が死んでも、必ず渡すように組員へ念書を残しておく。
ホープ:違う。
真っ直ぐな瞳を向けるホープ。
ホープ:死なせたくないのよ、あなたを。
面食らうレオ。
やがて、小さく笑う。
レオ:……ははッ、「機械仕掛け」の言葉とは思えないな。
ホープ:からかわないで。
レオ:大丈夫だ。簡単に死ぬつもりはない。
ホープの肩に手を置くレオ。
レオ:それより、お前は自分の成すべきことに集中しろ。
アッシュもそうだが……マネージャーも助け出さないとならないだろう。
ホープ:……ええ。
レオ:それに……友人のこともな。
ホープ:(銀(イン)が身柄を拘束された。)
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