マザーランドの真実
殺し屋シリーズ2部:8話
とある過去の記憶。
人気のない荒地に銃声だけが響いている。
硝煙の先にある的についた不揃いな弾痕を見据える少女。
不意に背後からかけられた声に体が固まる。
シャーク:軸がブレすぎだな。
シャーク:自分の型を染み込ませとけ。
シャーク:モタついてる間に死ぬぞ。
ヘザー:あ……う、うん。
シャーク:あと体も作れ。
シャーク:てめぇの得物に振り回されてんじゃ世話がねぇ。
ヘザー:わかった。
ヘザー:あの……おかえりなさい。
散々撃ち尽くされた射撃用の的を見るなり、小さく息を吐く女。
シャーク:自由にやっていいとは言ったがよ……。
シャーク:加減ってモン知らねぇのか?
シャーク:弾もタダじゃねぇんだぞ……ったく。
女が背を向ける。
目を伏せる少女。
ヘザー:……ごめんなさい。
シャーク:今日はもうやめとけ。帰るぞ。
ヘザー:は……はい。
歩いていく背中についていく少女。
都心から離れた町の小さなホテル。
椅子に腰掛け通話している女。
シャーク:……ああ、でけぇシノギが入ってよ。
シャーク:しばらくは戻れそうにねぇ。
シャーク:ムカデにも伝えといてくれ。
シャーク:……あ? んなワケねぇだろ!
シャーク:大体寂しがってんならゲームばっかしてねぇで電話出ろっつっとけ!
シャーク:あぁ、こっちは心配すんな。
シャーク:じゃあな。あんたもしっかりやれよ。
通話が切られる。
少女が女の方を見る。
ヘザー:……誰?
シャーク:相棒だよ。
シャーク:また男と遊んでやがったな、あいつ……。
ヘザー:相棒……。
シャーク:んなことより銃のメンテしとけよ。
シャーク:この間教えただろ。
ヘザー:あ……うん。
銃を手に取るヘザー。
ふと、その手が止まる。
ヘザー:……いいな。
シャーク:あ?
ヘザー:相棒とか……仲間とか。友だち……とか。
シャーク:……。
ヘザー:私も……早く会いたい。
視線を外し、首筋に触れる女。
1/15
面白いと思ったら、続きは全文ダウンロードで!
御利用機種
Windows
Macintosh
E-mail
E-mail送付希望の方は、アドレス御記入ください。