ドーナツホールの標的
殺し屋シリーズ2部:6話
「不運(アンラック)」の襲撃から数日後。
銀の計らいにより、目立たない拠点で身を隠しているレオとホープたち。
ある日、耳にした一報に激しく憤るレオの声が部屋に響く。
レオ:ちくしょうッ!
レオの拳が壁を打つ。
その姿を冷静に見つめているホープ。
レオ:あいつ……やりやがったな……!
レオ:アッシュの野郎……絶対に許さねぇ。
レオ:必ず殺してやる!
ホープ:落ち着きなさい。
ホープ:怒りは判断を鈍らせるだけよ。
ホープを睨むレオ。
レオ:うるさい!
レオ:誰もがお前みたいに……機械のように冷静でいられると思うなよ、「エクスマキナ」!
ホープ:……。
そっと視線を外すホープ。
頭を抱え顔を伏せるレオ。
レオ:マルコ……すまない。
レオ:仇は必ず取ってやるからな。
レオ:必ずだ……。
悔しさに唇を噛みしめるレオ。
何も言わず、ホープは静かに部屋を出ていく。
ホープ:(「ベルトリオ」ファミリーの幹部、マルコという男が殺された。)
ホープ:(鋭利な刃物で頭を割られる残虐な手口。)
ホープ:(銀(イン)の掴んでくる情報に間違いはない。)
廊下を歩いていくホープ。
ホープ:(「兄のような存在だった」と彼は言う。)
ホープ:(血は繋がっていなくても、彼にとっては紛れもなく家族だったのだろう。)
ホープ:(それを引き裂かれるのは身を切られるように辛いこと。)
ホープ:(今のあなたにはそれがわからないの?)
ホープ:(ねぇ……リグレット。)
立ち止まり、窓から遠くを見る。
――翌朝。
やつれた表情でリビングに顔を出すレオ。
先に座っていたホープが顔を上げる。
レオ:……起きてたのか。
ホープ:ええ。
ホープの向かいに座るレオ。
やがて、静かに口を開く。
レオ:……悪かったな、昨日は。
ホープ:別に気にしてない。
レオ:そう、か。
つかの間の沈黙。
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