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一発で

「　一発で　」　　　作：つむぎ日向

小道具：銃（１）・弾丸（１）・白いハンカチ（１）・　メモ帳とペン（各１）

本編
　　　開幕。
　　　暗転中、銃撃戦の音が聞こえる。
　　　明転し、上手から何者かに追われているＡとＢが逃げてくる。

Ａ　「くそっ……奴ら、思ってたよりも数が多いな……」
Ｂ　「あぁ。俺たちだけじゃ、どうにもマズそうだ」
Ａ　「Ｂ＿＿＿（名前）、残りの弾は？」
Ｂ　「それが、さっき撃たれた時に銃ごと落としちまった」
Ａ　「そうか……」
Ｂ　「Ａ＿＿＿（名前）、お前の方は？」
Ａ　「残念ながら、全部奴らにぶち込んだよ」
Ｂ　「それは、つまりどういうことだ？」
Ａ　「……弾は、ないってことだ」
Ｂ　「そうか……」
Ａ　「だが、最後の切り札はある」
Ｂ　「切り札？切り札ってなんだ？」
Ａ　「お前がいつも持ち歩てる奴だよ」
Ｂ　「俺が？あっ、ハンカチか？」

　　　ポケットから白いハンカチを出すＢ。

Ａ　「違う。そいつじゃない」
Ｂ　「じゃあいったい……」
Ａ　「お守り替わりにって、いつもポケットに入れてただろ」
Ｂ　「あぁ、こっちか」

　　　Ｂ、ポケットから一発の弾丸を取り出す。

Ａ　「その弾丸……俺に預けてくれないか」
Ｂ　「そいつは良いが、たった一発でどうする気だ」
Ａ　「何言ってんだ。この一発はただの弾丸じゃない。お前の想いを込めて、俺が撃つんだ」
Ｂ　「つまり？」
Ａ　「つまり……つまりその……超強い、と思う」
Ｂ　「そうか。ほら」
Ａ　「ありがと……」

　　　弾丸を中に装填するＡ。
　　　追っての足音が近くで聞こえる。

Ａ　「くそっ！奴ら、もうそこまで……お前は先に行け！」
Ｂ　「行ってどうするんだ！？」
Ａ　「行って……行って、仲間を呼んできてくれ」
Ｂ　「でもお前一人じゃ」
Ａ　「何言ってる。お前が戻るまでの間だけさ」
Ｂ　「戻るまでの間にどうするんだ？」
Ａ　「えっと……頑張る。だから、できるだけ早く帰って来てくれる？」
Ｂ　「なるほど。分かった」

　　　行こうとするＢだが、振り返ってＡに問う。

Ｂ　「なぁ、相棒」
Ａ　「どうした！？早く行け！」
Ｂ　「その前に……仲間になんて言ったらいい？」

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