赤鼻のサンタクロース
『赤鼻のサンタクロース』
【登場人物】2名(男性1・女性1)
聖也:中井聖也(なかいせいや)。幼稚園のクリスマス会で毎年星美(ほしみ)と一緒に劇をしている。
雪美:神田雪美(かんだゆきみ)。彼氏とデート中の姉の星美に代わってクリスマス会にやってきた。
【上演時間】30分
【あらすじ】
クリスマスイブ。毎年幼稚園のクリスマス会に参加している聖也は、一緒に参加するはずの星美が来ないことに焦って電話をかける。そこへ星美の代わりに妹の雪美がやってきて・・・。
初対面の2人の奇跡の劇が幕を開ける。
【本編】
聖也:(電話で)もしもし神田? やっと繋がった。今、どこにいるんだよ? は? 来れないってどういうこと!? いまさら何言ってんの、もうすぐクリスマス会始まるんだぞ。え、代わりの人間? もうすぐ着くって、ちょっと! おい! 神田! だめだ、切られた。
雪美:あの〜。
聖也:何考えてんだよ、アイツ。
雪美:あの〜。
聖也:俺一人でどうしろってんだよ。
雪美:あの、聞こえてます?
聖也:ごめんなさい。ちょっと黙っててくれますって、えっ、誰?
雪美:あなたが中井君でしょ? 神田星美の代わりで来ました神田雪美です。よろしくお願いします。
聖也:え? はぁ!?
雪美:お姉ちゃんにクリスマス会の劇の代役を頼まれてきました。
聖也:神田の妹?
雪美:はい。一つ年下です。
聖也:代わりって、どういうこと?
雪美:だから、お姉ちゃんに「急に予定が入っちゃったから、代わりに行ってくれる?」って言われて。
聖也:はあ?
雪美:きっと中井君が困ってるだろうからって。
聖也:困ってるけど、いきなり代わりって、そんな簡単に代われるもんじゃないだろ。
雪美:そうなの?
聖也:神田じゃなきゃ困るんだよ。
雪美:どうして? 幼稚園児に見せる劇の代役でしょ? 私、出来るよ。
聖也:そんな簡単に言うなよ。台本は読んできたのか?
雪美:読んでない。お姉ちゃんくれなかったし。
聖也:今から覚えるの!? 無理だよ。今、園児たちがやってるゲームが終わったら、すぐ出番なんだから。
雪美:そこはまあ、アドリブで。
聖也:いきなりそんなこと出来るわけないだろ。芝居の経験あるのか!?
雪美:ない。
聖也:それでどうしてそんなに自信満々なんだよ。
雪美:相手は幼稚園児でしょ? 適当にやるから大丈夫だよ。
聖也:バカ。毎年楽しみにしてくれてる保育士さんや、園児の親御さんも沢山見に来てくれてるんだ。そんないい加減なものじゃないんだよ。
雪美:初対面でバカってなによ、ひどくない!?
聖也:あ〜、まいったな。もうこうなったら俺一人でなんとかするから帰っていいよ。
雪美:嫌だ。
聖也:なんで?
雪美:お姉ちゃんに代役を任されたから。それに帰っちゃったらバイト代貰えないし。
聖也:バイト代?
雪美:うん。ちゃんとやったら一万円くれるって。
聖也:一万!? このクリスマス会の劇ってボランティアなのに?
雪美:あ、そうなんだ。
聖也:あのさ、神田の妹……。
雪美:雪美って呼んでいいよ。
聖也:じゃ、雪美。
雪美:はいはいなんでしょう?
聖也:神田は今日何やってんの?
雪美:お姉ちゃん?
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