タナトスの後悔

背景:なし
小道具:椅子 ネクタイ(ひも状のものであればなんでも可)

※セリフの言い回し、一人称、動きなどの改変、アドリブ自由



【ここから本編】



〇私の部屋

―照明、真っ暗
―ステージの真ん中に椅子
―真っ暗な中、椅子を倒してガタンと音を出す
―数秒後、照明をつける

―倒れる椅子のそばで座り込む私
―手元にはネクタイ(ひも状のもの)が落ちている


私:(激しく咳き込む)
  (咳がおさまり、呼吸を整えてから次のセリフ)
  ……あーあ。失敗しちった。
 

―喉元をさする


私:……ははっ、痛ぇ。
  思った以上に、苦しいもんなんだな。
 (大きなため息)
  だっせぇ……。
  死のうとしといて、死ねなかった。
  ……でも


―手元のネクタイ(ひも状のもの)を握りしめる


私:安心している、自分がいる。


  少し間


私:死にたかったはずなのに、死ねなかったはずなのに
  もう一度首を吊ろうという気さえ起きない。
  それどころか……


―握りしめたネクタイ(ひも状のもの)を胸元まで掲げる


私:これが切れる前……首が絞まり、息ができなくなったとき
  あろうことか、私は――

  怖いと、思ってしまった。
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