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旧暦じゃ8月７日が七夕じゃい！

登場人物
拓斗……男性　七瀬拓斗　（ななせ・たくと）
夕映……女性　加治佐夕映（かじさ・ゆえ）

※デフォルトは学校が舞台の高校生設定ですが
　舞台設定、年齢設定など自由に改変していただいて構いません

【ここから本編】

―学校の教室
―補習をしていると、隣の席の夕映が話しかけてくる

夕映：「拓斗くんや」
拓斗：「あっ、はい」
夕映：「八月です」
拓斗：「は、はい」
夕映：「八月です」
拓斗：「だから、なんだよ」
夕映：「今日は何の日でしょう？」
拓斗：「今日？　えーと……なんかあったっけ？」
夕映：「ちくたくちくたくちくたく……」
拓斗：「うるさい、黙ってて。んー……（考える）」
夕映：「……」
拓斗：「あ、わかった」
夕映：「おっ」
拓斗：「夏祭り！」
夕映：「（セリフにかぶせて）七夕です」
拓斗：「……はい？」
夕映：「七夕です」
拓斗：「……ん？」
夕映：「た・な・ば・た・です」
拓斗：「いや聞こえてはいるんだよ！
　　　　え？　七夕って先月だろ？　七月七日だろ？」
夕映：「違います」
拓斗：「違わねぇだろ」
夕映：「それは都会での話です」
拓斗：「……は？」
夕映：「逆にさ、この田舎に、ミックもサーティワンもない、ナイントゥエルブすらない、
　　　　モーソンさえ数年前にやっとできたこのド田舎に十数年住んでてさ
　　　　逆に！　な・ん・で！　知らないの？」
拓斗：「な、何を？」
夕映：「このド田舎では、七夕は七月七日じゃないのだよ」
拓斗：「は？　いやいや、七月七日だろ？　笹の葉と短冊飾ってたじゃん」
夕映：「（セリフにかぶせて）八月七日なのだよ」
拓斗：「……ん？」
夕映：「旧暦なのだよ」
拓斗：「……は？　旧暦？」
夕映：「旧暦じゃ八月七日が七夕なのだよ」
拓斗：「……はぁ」
夕映：「だから今日は夏祭りの日じゃないのだよ」
拓斗：「……」
夕映：「異論はあるかい？」
拓斗：「……お言葉だけどさ」
夕映：「お？」
拓斗：「町のどこかに笹の葉飾ってるところあったか？」
夕映：「……いえ」

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