最終章 春 【朗読劇】墜ちていく…
(「恋愛戯曲 短編集 春夏秋冬」より)
海月 作
恋愛戯曲 短編集 最終章(春)
【朗読劇】
墜ちていく…
【キャスト】
サクラ
シズク
ハルイチ
親
子ども
ヒカリ
ちく
たく
表現者たち(複数名)
■ その時を待って ■
幕開き。
雨の一滴が墜ちる音が響く。
サクラ 私、ずっと…待っている。ずっと。
照明がゆっくりと舞台を照らす。
(表現者)白い衣装を纏い膝を抱えているサクラ。
サクラ、ゆっくり顔だけを起こし始める。その瞳は閉じている。
サクラ (大きく息を吸い込み)きっと、もうすぐ。分かる。感じる。風が…肌をさすような冷たかった風が…、暖かくなってきたから…。
(表現者)ハルイチ、色鮮やかな衣装を身にまとっている。舞台袖からゆっくり歩き、サクラに近づく。
ハルイチ 届けに来たよ。
サクラ (頷いて)あなたは何処から?
ハルイチ ずっとずっと東と南の方から、
サクラ そう。でも、もう行ってしまうんだね。
ハルイチ 私を待っている人がいるから。
サクラ 今度は何処に?
ハルイチ ずっとずーっと西と北の方。
サクラ 遠いね。
ハルイチ 一瞬さ。
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