空港へと向かう道にて
空港へ向かう道にて
浬由有 杳
登場人物:男1、女4または3
・ 父
・マリコ 相良家の長女 会社員
・エミコ 相良家の次女 大学生
・ サヤカ 相良家の三女 高校2年
・ 母 (声のみ) ※録音で可
舞台装置の1例:車を表す机2つ+椅子4脚(机はフロント部分やダッシュボードなどと
して扱う)
※机や椅子の数は変えても良いし、他のもので車を表しても構わない。
状況あるいは演出に応じること
※椅子の配置は客席から役者の動きが見えるように角度を付けるなどして工夫すること
・小道具:CD・新聞紙・クッキー等は本物を使ってもよいし、イメージのみでもよい。
※犬の死骸や子犬に関してもイメージでよいが、必要ならぬいぐるみなどを用いてもよい。
◎車の動きは基本的にエンジン音などのSEやBGM、身体の動きで表すこと。
歌や歌手名、番組名、猫の名前などは変更してよい。
Prologue
SE:固定電話のベル。続いて受話器を取る音。
母(声):もしもし・・・はい、相良でございますが。どちら様で・・・は、小鳥遊(たか
なし)?彩子(あやこ)・・・?まさか、彩子さん?あの、彩子さんなの?・・・
今頃、何の用?
Part 1
開幕
舞台の真ん中あたりに、自動車のセットがぽつんと置かれている。
運転席では、派手な格好の女性(エミコ)が、何やら考え込んだ様子で、1枚の紙を眺めて
いる。
上手舞台そでから高校生くらいの制服姿の女の子(サヤカ)が現れる。
学校帰りらしく、スクールバッグを下げ、ケータイで友人とおしゃべりしている。
サヤカ:久しぶり。元気してた?私?私は、ま、あまり変わらないかな。そっちこそ、
どう、学校、慣れた?・・・・そう。友達出来たならよかったじゃん。
え、帰ってきてるの、今?・・・もちろん、行くよ。由美と早苗には知らせた?
・・・わかった。4時に舞子んちね。
エミコ、サヤカがやってきたのに気づいて、ダッシュボード奥に慌てて紙を押し込
んで、車から出る。サヤカ、電話に夢中でエミコがいるのに気が付かない。
サヤカ:美波ちゃんも元気?え?・・・えぇ!三つ子?三つ子産んだの?あの美波ちゃんが?・・・それ、本当?まさか。あの箱入り娘の美波ちゃんが?・・・ご両親は何て?・・・あ、あの、家出したとき?・・・そうね。あの時、大変だったものね。舞子、泣きながら、電話してきて。専門家を雇おうかって言ってたら、ひょっこり戻ってきたっけ。・・・で、父親に心当たりは?・・・え、お隣のリュウセイが?・・・話してみたの、お隣と?・・・で、認知してくれそう?
エミコ、話を漏れ聞き、深刻そうな内容に驚く。
エミコ:(ぽつりと)認知?子供の?
サヤカ:そっか。父親似の子がいてよかったじゃない。・・・え、うち?・・・そりゃ、
私だって助けてあげたいけど。ダメだと思うよ。母さん、潔癖症ぎみで。・・・
わかった。一応は聞いてみる。でもねぇ、なんか嘘みたい。あの美波ちゃんが、
母親だなんて。・・・へえ、そうなんだ。意外。そんなに良く子供の面倒見てるな
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