お嬢様とセバスチャン
セバスチャン:(M)朝。いつもの時間に起こしに行くのが、私の最初の仕事。
セバスチャン:先に朝食と紅茶の用意をする。茶葉を蒸らしている間にお嬢様の部屋へと向かう、いつもの朝。
(ノック音)
セバスチャン:失礼します
セバスチャン:(M)カーテンに光を遮られてまだ部屋は薄暗い。私がカーテンを開けると、ベッドの中から気難しそうな唸り声が聞こえた。
セバスチャン:お嬢様、おはようございます
お嬢様:んんん…
セバスチャン:お嬢様
お嬢様:…もう朝なの…
セバスチャン:はい、朝でございますよ
お嬢様:んんー…ふわぁ…おはよう、セバスチャン
セバスチャン:おはようございます。よくお休みになられましたか?
お嬢様:ええ、よく眠れたと思うわ。とてもスッキリしてるもの
セバスチャン:それはよろしゅうございました
セバスチャン:今朝の紅茶はカモミールのハーブティーでございます。朝食はオムレツとコーンクリームのスープをご用意させて頂きました
お嬢様:完璧だわセバスチャン、流石ね。
お嬢様:あぁ、今日はすごくいいお天気ね。気持ちよさそう
セバスチャン:しかし、予報では夕方から雨が降る、と
お嬢様:やだ、そうなの?どうしようかしら
セバスチャン:なにかご予定が?
お嬢様:ええ、午後からお出かけをしようかと思っていたのに…。そうね、なら午前中から出掛けましょうか
セバスチャン:早めにお戻りになられた方がよろしいと思われます
お嬢様:あら、それは貴方がちゃんと気にしていてくれたらいいのよ
セバスチャン:…私も行く…のでしょうか?
お嬢様:もちろんよ、貴方は私の執事なんだから
セバスチャン:(M)そう、私は彼女の執事。地面に這いつくばった私を見下ろし、彼女は笑顔で言い放ったのだ。
セバスチャン:明日からあなたが私の執事よ。分かったら返事をしなさい、セバスチャン。と…
お嬢様:(M)彼が私の執事になって3日。覚えがとてもよく、紅茶を入れる手際はもう素人のそれではない。まるでちゃんとした訓練を受けたかのように、その動きは洗練されている。彼は素晴らしい、私だけの執事
お嬢様:さぁ、朝食にしましょう。セバスチャン、手を
セバスチャン:はい、お嬢様
移動する2人
セバスチャン:お嬢様。どうぞ、椅子を
お嬢様:ええ、ありがとう。セバスチャン。…あぁ、とてもいい香りだわ
セバスチャン:恐れ入ります
お嬢様:このパンも…私が好きなやつね。嬉しい
セバスチャン:喜んでいただけて何よりです
お嬢様:んー…このポテトとベーコンのオムレツ!私、これ大好き!
セバスチャン:お嬢様、お食事の途中でございますよ
お嬢様:んんっ(咳払い)そうね、はしたなかったわ。気をつけます
セバスチャン:ええ、そうなさって下さい
お嬢様:ねぇセバスチャン?
セバスチャン:はい、なんでしょう
お嬢様:今日は私、町までお買い物に行きたいの。新しいカフェにも寄ってみたいわ。車を出してくれるわね?
セバスチャン:…かしこまりました
お嬢様:セバスチャンが車を出してくれるのだから、夕方から雨が降っても大丈夫ね
セバスチャン:しかし、お体を冷やします
お嬢様:心配しなくても大丈夫よ。先日買った新しいコートをおろすから
セバスチャン:左様でございますか。…紅茶のおかわりはいかがですか?
お嬢様:そ、それより、…オムレツとパンのおかわりの方が欲しいのだけど…
セバスチャン:お嬢様…
お嬢様:だって仕方ないじゃない!美味しかったんだから!
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