チュウニズム・ヒーロー
チュウニズム・ヒーロー

春崎 ユカイ (はるさき ゆかい)…ただの厨二病。

中原 美優(なかはら みゆ)…ブラック企業OL。

宮本 健二(みやもと けんじ)…冴えない元銀行員。

高山 さくら (たかやま さくら)…売れない小説家。

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廃ビルの屋上。地明かりFI。

舞台中央の手前に美優が立っている。

美優「お父さんお母さんごめんね。ここまで育ててもらったのに、こんな結果になっちゃって」

美優「でもね、どれもこれも全部、あのクソ会社が悪いの。月間残業時間は100時間越えが当たり前だし、有給なんてそもそもないし、給料は安いし、彼氏いないし…どうせそのうち死ぬんだから、さっさとこの苦しみから解放されたい」

美優「あーあ、学生の頃は漫画家になりたいとか思ってたのに。今がこんなんだって知ったら昔の自分もがっかりするんだろうなあ」

美優「…はあ、そろそろいくか」

美優「…あ、家の鍵閉めたっけ」

美優「…いやいや、もう死ぬんだから関係ないし…あ。死んだら警察にパソコンの履歴とか見られるのかな。ピクシブとか見られたら人生終わっちゃう…」

美優「いや、だから終わらせるんだって!もう、いちいち考えるな私!スッといこう!スッと!」

美優「…あんなところに戻るくらいなら、やっぱり死んだ方がマシだよ」

美優、飛び降りようとする。

ユカイ「天啓を聞けい!」

美優「え、何、今の声。もしかして、神様?」

ユカイ、上手イリ。

ユカイ「フッフッフ。俺は神ではない。邪神ベルゼブブのソウルを宿したヒーロー…とでも言っておくとしようか」

美優「うわっ、変な人だ。廃ビルってあたおかな奴らが集まるっていうからな。別の場所に変えよう」

美優、ハケようとする。

ユカイ「どこへ行く。まだ話は終わっていない」

美優「あーはいはい。どうもすみませんね。さようなら〜」

ユカイ「そこの空高きデモンズ・ゲートからガイアの大地へオーバードライブを実行しようとしていただろう。理由を問う」

美優「どういう意味?」

ユカイ「なぜ飛び降りようとしていたのかと聞いているのだ」

美優「…いつから見てたの」

ユカイ「お父さんお母さん…」

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