マッチ売りの少女
マッチ売りの少女

少女


黒猫
母親

少女「マッチ、マッチはいりませんか?」

男「いらないよ。ライターがある」

少女「マッチ、マッチはいりませんか?」

女(無言で払いのける。足早に去る)

 少女、だれも通らなくなった道端で立ち尽くす。客席に黒猫を見つける

少女「なにずっと見てるの。何も持ってないよ。マッチ以外。冷やかしはやめて」

 黒猫、客席から出て、少女に近づく

少女「ほんとにやめてったら。なに、マッチ買ってくれるの?お金持ってるの?」

 少女が5歩右に行けば、黒猫も5歩近づく。同じ間合いをあけてついてくる。
 急に少女が黒猫を捕まえる。手を放しても、どこにも行かない黒猫

少女「捕まえた」

黒猫「にゃー」

少女「帰る家ないの?」

黒猫「にゃー」

少女「私も」

黒猫「・・・」

少女「なんか言いなさいよ。無理か。猫だもんね」

黒猫「にゃー」

少女「私、食べ物持ってないから、他行きなさいよ」

黒猫「・・・にゃー」

少女「マッチ売らないと、お金ないの。ごはん買えないの。今日泊まるところもないの。
   私たち一緒ね」

黒猫「・・・」

少女「名前を付けてあげる。黒猫だから、そうねー、黒。あなたの名前は黒」

黒猫「にゃー」

少女「そう気に入った?気に入ったならいいんだけど。安直すぎるって怒ってないかしら」

黒猫「・・・にゃ」

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