脚本ダウンロードサービス

ブルームーン

��糸�岩査��
マスター･･････若い頃からバーを経営する。お客さんにはフランクに接する。
優月(ゆうづき)すみれ･･････女優を目指して上京してきた女性。実年齢より若く、幼く見える。

(バーお店のドアが開く)
マスター　『ん、ああ、いらっしゃい。また来てくれたんだ。･･････って。もうすぐ閉店時間ですけど？随分ギリギリに来てくれたね。これじゃお店閉めれない･･････あ、冗談冗談。いいから座って。一杯くらい飲んできなよ。ご注文は？おすすめ･･････了解。確か今日は満月だったね。
(カウンターでカクテルを作る)
お待たせいたしました。ブルームーンです。2杯も飲めないって？残念。こっちは俺の分。もうお客さん来ないからね。一緒に飲もうと思って。
･･････出しておいてなんだけど、このカクテル見ると昔のことを思い出しちゃうんだよね･･････ん？聞きたいって？そんなにいい話じゃないよ。まあでもそうだな、お客さん君だけだし、少しばかり俺の昔話に付き合ってくれるかい？今日はなんだかそんな気分なんだ。時間は大丈夫？そんなに長く話すつもりはないけど。付き合ってくれてありがとう。じゃあどこから話そうかな。あれは･･････何年前だったかな。俺がこのお店を始めた頃の話になる･･････』

(数年前。バー。扉が開く。活発そうな少女が入ってくる)

すみれ　　こんばんは！
マスター　元気のいいお客さん、いらっしゃい。でもお嬢さん、君、未成年じゃない？大丈夫？
すみれ　　こんな見た目ですけどもうとっくに成人してますよ！
マスター　それは失礼。一人かい？じゃあこちらにどうぞ。
すみれ　　ありがとうございます。
マスター　ご注文は？
すみれ　　ブルームーン。
マスター　結構度数高いけど大丈夫？
すみれ　　見た目よりもお酒には強いの。
マスター　これは失礼。
すみれ　　一度飲んでみたかった、憧れのカクテルなの。とびきりおいしく作ってくれる？
マスター　そう言うことならおまかせを。
(カクテルを作る)
マスター　お待たせいたしました。ブルームーンです。
すみれ　　すごい･･････綺麗。(一口飲む)んん！美味しい！
マスター　気に入ってくれたようでよかった。
すみれ　　ええ。ありがとう。
マスター　またどうしてブルームーンなんだ？失恋でもした？
すみれ　　どうして失恋が出てくるの？
マスター　カクテル言葉がそうだから。
すみれ　　カクテル･･････言葉？
マスター　知らなかったか。花言葉ってあるように、カクテルにもそれぞれ言葉がつけられているんだ。
すみれ　　へー。知らなかった。ブルームーンは失恋の意味なの？
マスター　「無理な相談」「叶わぬ恋」そして「完全なる愛」
すみれ　　何個もあるものなの？
マスター　ものによってはね。まあこんなに両極端な意味を持つカクテルも珍しいけどね。
すみれ　　両極端･･････かな。
マスター　そうでしょ。「叶わぬ恋」と「完全なる愛」って。
すみれ　　私、恋愛っていまいちよくわからないけど、相手のことを「完全に愛してる」からこそ「叶わぬ恋」になることだってあるんじゃない？
マスター　というと？
すみれ　　相手を完全なまでに愛しているからこそ、幸せを願うからこそ身をひく。結果的に自分の恋は叶わない。
マスター　なかなか面白いことを言うね。
すみれ　　まあね･･････ってよくよく考えたらどうして私がブルームーン頼んで、失恋の意味を取ったの？
マスター　いや、なんとなく。完全なる愛を知るにはまだ幼いかなって思って。俺の思い違いだったみたいだけど。
すみれ　　だから私はそんなに幼くないの！なに？ここのお店は初めてくるお客さんにこんな失礼な態度とるわけ？
マスター　うーん･･････割とこんな感じかも。
すみれ　　よく潰れないわね。
マスター　オープンしたばかりだからね。それにうちのお客さんはありがたいことに、こういうのを面白がってくれる物好きが多くてね。
すみれ　　変な店。カクテルは美味しいのに。
マスター　お褒めに預かり光栄です。
すみれ　　いちいち癪に触るわね。
マスター　でも嫌いじゃないでしょ？
すみれ　　むむむ･･････(ブルームーンを飲み干す)マスター、ブルームーンもう一杯！
マスター　ちょっと、飲みすぎないでよ？度数強めだって言ってるじゃん。

1/4

面白いと思ったら、続きは全文ダウンロードで！