記憶の回廊
~奇妙な取り調べ~
「記憶の回廊 ~奇妙な取り調べ~」 作・柿間朱夏

〇登場人物
ガナル(男)…スーツ姿で森の中をさ迷っていた中年男性。自称人気画家。どうやら記憶の一部が欠落しているらしい。
警官(男女不問)…荒っぽい若い男性。セリフは男性の口調で書かれていますが、女性に変更してもOK。
署長(男)…年配の柔和そうな男性。口調は柔らかいが、眼光は鋭い。

※マリー(女)が登場するパターンのシナリオもあります(出番は少ない)。希望の方にはデータでお渡しできますのでご連絡ください。

〇あらすじ
ある夜、山荘で死体が見つかった。
ほぼ同時刻、近くの森の中をずぶ濡れでさ迷う男がいた。
男は取調室に連行されるが、どうにも様子がおかしい……


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シーン「取調室」
大きな机が一つ。署長は机に背を向けて、椅子に座ったまま窓の外を見ている。
机の正面にパイプ椅子が一脚置かれている。
ティーセットの置かれた棚と、その横にダンボールが無造作に数個積み上げられている。

下手より警官に取り押さえられながらガナル登場。

警官:おとなしくしろ!

ガナル:離せっ…離せ!一体私が何をしたっていうんだ、離せ!

警官:お前の話は今からゆっくりと聞いてやる。とにかく黙って座れ!

(警官、乱暴にパイプ椅子にガナルを座らせる)

ガナル:(諦めたように)くそっ

(署長、ゆっくりとガナルを振り返る)

署長:やあ、こんばんは。いい夜だね

ガナル:こんな激しい嵐だというのに、何がいい夜だ!あんたは誰だ!

署長:私か?私は所長のピカソだ

ガナル:ピカソだと?ふざけるな!

署長:疑うか?まあどちらでもいいさ。君に私の名を知ってもらう必要などないんでね。…ところで君、名前は?

ガナル:……

警官:おい答えんか貴様!

署長:まあまあ。そう声を荒げるな

警官:しかし署長!

署長:まぁ、今は言わなくてもいいさ。そのうち自分から言いたくなる

警官:(敬礼して)はっ!

ガナル:私には電話をかける権利があるはずだ
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