アフターダークの脱出
殺し屋シリーズ:7話
時刻は真夜中を過ぎた頃。
極彩色のネオンが闇を照らすクラブ「ナイトホークス」。
建物のシルエットが視認できる位置で様子をうかがう3人組。
シャーク:あれか、ナイトホークスってのは。
センチピード:ええ、間違いないわね。
ブルズアイ:ちょっと見てぇ、あのギラギラのネオン。悪趣味ねぇ。
ブルズアイ:ムードの欠片もないわ。よくて20点ってとこかな。
シャーク:あんたの趣味の採点なんざ聞いてねぇよ。
シャーク:……とりあえず外には誰もいねぇみたいだな。
ブルズアイ:え、すごぉい、シャークちゃん。
ブルズアイ:全然見えないわ、私。
シャーク:夜目(よめ)は利くんでな。
センチピード:良い目があるのに、ロングレンジはからっきしなのよね。
センチピード:宝の持ち腐れだわ。
シャーク:うるせぇよ、ムカデ。
シャーク:で、どうする。あたしは正面から行ってもいいけどよ。
シャーク:どうせお前のことだ、中のマッピングはできてんだろ。
センチピード:もちろん。でもあんまりスマホ使いたくないのよね。
センチピード:ゲームできないし。
シャーク:中でもやる気かよ……。ホント飽きねぇな。
センチピード:じゃ、さっさと済ませましょうか。
センチピード:行くわよ。
正面の出入り口へ歩き出すセンチピード。
シャーク:お、おい。
ブルズアイ:あら、結局正面から?
センチピード:ええ。こういうのはあえて裏をかかない方が効果的。
センチピード:それに見たところ正面が一番手薄だわ。
シャーク:んだよ、先に言っとけ。
センチピード:無駄な騒ぎはナシよ。いいわね。
シャーク:わかってるよ。
ブルズアイ:ふふ、こんな美女ぞろいならあっちも大歓迎なんじゃなぁい?
センチピード:だと良いけどね。
数分後、「ナイトホークス」店内。
音を殺し、奥へと進んでいく3人。
周囲を警戒するシャークが静かに口を開く。
シャーク:……静か過ぎんだろ。
センチピード:そうね。人の気配がしない。
ブルズアイ:変ねぇ。息づかいも聞こえないし。
シャーク:何だよ、あんたは目より耳が利くのか。
ブルズアイ:甘ぁい吐息がね。
ブルズアイ:ほらぁ、こういう店って大体……。
センチピード:シッ。
センチピードが前方に何かの気配を感じ取る。
乾いた血溜まりに横たわる無惨な男の死体が現れる。
シャーク:おい、これは……。
センチピード:ヤレフでしょ、このおじさん。
センチピード:私たちのマトの。
ブルズアイ:あらあら、随分と楽しいパーティだったみたいね。
シャーク:何だってドタマぶち抜かれてんだ、こいつ。
シャーク:女の恨みでも買ったか。
ブルズアイ:見るからに下衆(げす)な顔してるもんねぇ。
センチピード:何にせよマトは死んでた。
センチピード:仕事にならないわね。
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