フラッパーの戦い
殺し屋シリーズ:5話
情報屋の顔を持つカフェ「フラッパー」店内。
表には「close」の札が揺れている。
がらんとした店内に店主と客の姿はない。
カウンターの奥側ではセンチピードが複数のパソコンモニターの前でキーボードを叩いている。
椅子に腰掛けたシャークがセンチピードに呼びかける。
シャーク:どうだ、ムカデ。
センチピード:もうちょっとかな。
センチピード:さすがにセキュリティは万全ね。
センチピード:情報屋は伊達じゃないわ。
シャーク:こんなところルージュに見つかったらぶっ殺されるだろうな。
センチピード:かもね。まぁ仕方ないでしょ。
センチピード:こっちも急ぎだし否応無しってことで。
シャーク:しかしあいつが店空けてんの珍しいな。
シャーク:バカンスにでも行ってんか?
センチピード:お店休んでるところ見たことないわ、私。
シャーク:……あたしもだ。
センチピード:そんなワーカホリックの彼女がこの不用心。
センチピード:らしくないと思わない? 匂うわねぇ。
シャーク:探偵なんざ気取らなくていいからよ、アクセスできたのか? データベースには。
センチピード:コンプリート。造作もないわね。
シャーク:お前のその妙な特技はどこで覚えたんだ?
シャーク:ハッキングだのピッキングだの、ご苦労なこったな。
センチピード:射撃以外のスキルも身につけといた方がいいわよ、シャークちゃん。
センチピード:いざって時に役に立つからね。
シャーク:けっ。みみっちいのはゴメンだ。
センチピード:不器用なのは頭の中だけにしときなさいよ。
シャーク:あ? オイどういう意味だよ。
シャークを無視してパソコンに向き合うセンチピード。
やがて目的のデータにたどり着く。
センチピード:んー……っと、これかな。
センチピード:あったわよ、次のマトのデータ。
シャーク:プリントアウトしといてくれ。
センチピード:自分でやれば?
センチピード:できるでしょ、それくらい。
シャーク:うるせぇな、ついでだろ。
センチピード:そんなだから先生に愛想尽かされるのよ。
センチピード:残念だったわね、会えなくて。
シャーク:ぶっ殺すぞ。黙ってやれ。
センチピード:もうやってる。
センチピード:あーあ、コーヒー飲みたかったのに……。
センチピード:どこ行ったのかしら、ルージュは。
シャーク:今戻られても困んだろ。
センチピード:ま、それもそうね。
その時、入口のドアが勢いよく開く。
突然の来訪客に身構えるシャーク。
視線の先には満面の笑みで両手を広げるベレッタの姿。
ベレッタ:ねっえっさーん! やっと帰ってきたんスか!
ベレッタ:もー寂しかったッスよー!
ベレッタ:珍しいじゃないッスか、こんなにお店空けてるなんて……。
ようやくシャークと目が合い、固まる。
だんだんと笑顔が引きつっていく。
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