ナイトホークスの鮮血
殺し屋シリーズ:4話
娼館としての顔も持つ、クラブ「ナイト・ホークス」。
仄明かりのランプが照らす店内。
貸し切りの一席で「情報屋」ルージュと店のオーナーが向かい合っている。
ルージュは足を組み、不快な表情を浮かべている。
ルージュ:待たせてくれるわね、おたくのボスは。
ヤレフ:何かと忙しいお方だからな。
ヤレフ:歳の割にフットワークが軽い。
ルージュ:あなたとは大違いね。
ヤレフ:俺も忙しいんだぜ?
ヤレフ:店を切り盛りしなきゃならねぇ。
ヤレフ:金に狂ったビッチどもの世話も骨が折れるんだ。
ルージュ:女の身としては気持ちの良い話じゃないわ。
ヤレフ:そいつは悪かったな。
ヤレフ:ウチのビッチどもに比べりゃ、お前は十分上玉だぜ。
ルージュ:褒めてるの? それって。
ヤレフ:ああ、もちろんさ。
ヤレフ:どうだ、一稼ぎしてみねぇか。
ヤレフ:その気があるならとびきりの待遇で迎えてやるぜ。
ルージュ:私の相手がつとまる男がいるなら考えてあげてもいいわ。
ルージュの返事に膝を叩いて笑うオーナー。
ヤレフ:はっは! 変わんねぇなぁ。
ヤレフ:吹きやがるぜ、ルージュ。
ルージュ:あなたと下卑た商売の話をしにきたわけじゃないんだけどねぇ、ヤレフ。
ルージュ:変わらないのはお互い様。
ヤレフ:お前ならまだ現役でやれんだろ。
ヤレフ:何だって裏方に引っ込んじまったんだ。
ルージュ:イタチごっこに嫌気が差したのよ。
ヤレフ:イタチごっこ?
ルージュ:殺し屋同士のね。
ルージュ:一人殺すごとに因果の根が深くなっていく。
ルージュ:ま、要するに疲れちゃった。
ルージュ:いち抜けしてオシャレなカフェでも開きたかったのよ。
ルージュ:ずっと夢だったし。
ヤレフ:はっ、カフェか。酔狂だなぁ。
ヤレフ:そんな簡単に断ち切れるものかい、その因果ってのは。
ルージュ:無理でしょうね。
ルージュ:それが運命なら受け入れるだけ。
ヤレフ:やっぱ上玉だ、お前。
ルージュ:どうも。
ルージュ:勧誘やらどうでもいい世間話がしたいのなら帰るわよ。
ヤレフ:まぁ待てって。
ヤレフ:もうすぐのはずだからよ……。
革張りの扉が開き、笑顔を貼り付けた男が2人の元へ歩いてくる。
オウル:やあ、こんばんは。
オウル:すみませんねぇ、遅れてしまって。
咄嗟にヤレフが立ち上がり、へりくだる。
ヤレフ:いえいえ、とんでもねぇ!
ヤレフ:お疲れさんです。
ルージュ:……どちら様?
オウル:ああ、ルージュさんですね!
オウル:オウルと申します。
オウル:本日はお越しいただき、ありがとうございます。
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