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ゆうかい

ゆうかい　柿間朱夏
☆登場人物
犯人(男)……26歳。多分あまり頭は良くない。
娘(女)……16歳。歳の割には大人びた印象。

シーン1「古びた倉庫」
犯人は椅子に座り、紙を見ながらブツブツ言っている。机の上には電話がある。
娘も椅子に座っているが、両手は後ろ手に縛られている。退屈そうな顔で犯人を眺めている。

犯人：「お前の娘は預かった」……なんか違うな、もっと低く…ドスを効かせないと。
（喉のチューニングをする犯人）
犯人：「（できる限り低音で）お前の娘は俺が預かった」こんな感じか……。「お前の娘は俺が預かった。返して欲しかったら」……欲しかったら…いくらにしよう。
500…いや300、いややっぱり500万円！用意しろ！……えーと、それから何言えばいいんだっけ……？あー！ちきしょう！言うこと考えるのめんどくせえなあ！どっかに台本落ちてねえのかよ！

娘：（大きくあくびをしてから）ねぇ、まだ？てか、さっきからずっと何やってんの？

犯人：練習だよ練習！

娘：練習？そういうのって練習するもんなの？

犯人：知らねえよ！俺だって初めてするんだから！

娘：やーねえ、初心者丸出し。だっさー。

犯人：初心者って……こういうのにベテランとかねーだろ！

娘：うちのパパにお金要求するんだったら、500万じゃ安いんじゃないの？

犯人：え、そうかな。

娘：っていうか500万程度で犯罪者になるってスケールちっちゃくない？

犯人：男にちっちゃいとか言うなよ！俺はこう見えてナイーブな一面を持ってるんだぞ！

娘：そんなのどーでもいいってば。ねぇどうせならさ、景気よく、一本どーんといこうよ。

犯人：一本てなんだよ、まさか一千万か！？

娘：いーちーおーく！言っちゃえ言っちゃえ！言っちゃえオッサン！

犯人：「やっちゃえ日産」みたいに言うなよ！い、一億って…一億…ペリカ？

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