スクリュードライバー
登場人物
拓……会社員。幼馴染の拓にいつも振り回されている。
康介……会社員で康介の幼馴染。女性に振られる度に拓をバーに呼び出す癖がある。
(午後11時。とあるバー。拓がバーの扉を開ける。誰かを探しているようだ。)
拓 えーっと・・・・・・
康介 拓!こっちこっち!
拓 ああいた。
康介 遅いよ!
拓 これでも連絡来てすぐに支度したつもりだが?というかこんな遅い時間に呼び出して、きてくれるだけありがたいと思え。
康介 なんだよ、フラれた男にもっと優しくしてよー。
拓 『午後11時。俺は友人である康介にいつものバーに呼び出された。ここに呼ばれるときは康介が女性に振られ、愚痴を聞いてほしい時だ』
拓 マスター、シャンデガフ1つ。
康介 マスター、俺も同じやつ。
拓 で?お前も懲りないな。今度はどこの、誰に振られたんだ?
康介 場所はここ。
拓 店に来た客か?
康介 ご名答。
拓 この店にそんなに仲良い人なんていたか?
康介 拓は僕が誘った時じゃないとこの店来ないだろ?僕は結構通ってるんだよ。
拓 ふーん・・・・・・
康介 なんだよ、なんかいいたそうだな。
拓 別に?で?最近来た客にでも惚れたのか。
康介 まあそんなとこ。切長の目で黒髪ストレートでめっちゃ美人なんだよ。一目惚れだったね。
拓 あー好きそう。毎度お前には釣り合ってないやつ。
康介 すごく失礼!
拓 そもそも、そんな美人、連れがいなかったのか?
康介 それがさ、いつも一人でここに来るんだよ。もうそれは絶好のチャンスじゃない?
拓 まあ知らないけど。
康介 こんなチャンスは二度とない!と思って僕、動いたんだよ。
拓 ほう?いつもどうしようどうしようっておどおどしているお前にしては珍しい。
康介 ・・・・・・拓は僕に嫌味の一つでも言わなきゃ気が済まないわけ?
拓 そんなつもりじゃないけど?まあいいから続けて。
康介 むう・・・・・・。いいや、続けるよ。で、どうにかして彼女といい仲になりたい!でもどうしたらいい?僕は考えた。そして思い出したんだ。
拓 何を?
康介 カクテル言葉さ。拓が教えてくれたやつ。
拓 ・・・・・・そんなの教えたっけ?
康介 そことぼける必要ある?ここでメニュー見ながら僕に教えてくれたじゃん!僕はそれを一生懸命思い出した。そしてマスターにお願いしたんだ。「あちらの女性にスクリュードライバーを」って。
拓 ・・・・・・
康介 カクテル言葉は「あなたに心奪われました」。合ってるだろ?マスターはすぐに用意してくれたよ。そしてマスターは彼女の前にスクリュードライバーを置いたんだ。僕の方を指して「あちらのお客さまからです」って。そしたら彼女どうしたと思う?
拓 知らん。どうしたんだ?
康介 席を立っていっちまったんだよぉ!一口も飲まずに!!
拓 ふっ・・・・・・ははははは。
康介 何笑ってんだよ!
拓 いや、悪い悪い。だってお前、ろくに話もせずに振られてるじゃんか!
康介 だから拓を呼んだんじゃん!めちゃくちゃ落ち込んでるから慰めてもらいたいんじゃん!
拓 いや、笑って悪かった。ちょっと面白くってな。
康介 ちょっとどころの笑いじゃなかったと思うけど。
拓 まあわからないよ?別にお酒を飲む人全員が全員カクテル言葉を知っているわけじゃないし。彼女だってもしかしたらたまたま用事があったから店を出たかもしれないじゃないか。
康介 だとしても僕はどうしたらいいんだ?
拓 また店に来たらアプローチすればいいじゃないか。
康介 どうアプローチするの?
拓 彼女が来たらまたスクリュードライバーを出してやればいいじゃないか。
康介 ・・・・・・拓って本当に人の心ある?
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