マリアの遺言
『マリアの遺言』
登場人物
吉岡かずみ(65)合唱団団長、グランパレタワー2305室住人
田中寛江(48) 合唱団員、同2502室住人
山下淳子(30) 同、同2203室住人 以上ソプラノ
奥野美紀(60) 合唱団副団長、同1402室住人
永野ひかり(45) 合唱団員、同1204室住人 以上アルト
青山晃子(43) 同、503室住人
高木敦子(32) 同、702室住人 以上メゾソプラノ
浅沼丈二(38)伴奏ピアニスト、音大講師
◯タワーマンションのパーティールーム
山下淳子、高木敦子、青山晃子が四つのテーブルや席を用意している。
そのうちの中央奥にある一つには老女の遺影が飾られている。
残りのテーブルにはそれぞれパート毎に楽譜が置かれている。
脇奥にはピアノがある(設定でも良い)
そこに三々五々、話したり久しぶりと挨拶し合ったりしながら
ソプラノ(上手)、アルト(中央前)、メゾソプラノ(下手)に分かれて座る団員たち。
永野ひかりはまだ現れていない。
浅沼丈二は少し遅れて、どこに座るか迷いながら立っている。
田中 「(大阪弁)浅沼さん、こっち、こっち座り」
青山 「浅沼さん、うちのテーブルの方が空いてるから」
田中 「青山さん、声かけたんうちの方が先やで」
浅沼 「はあ……(少し戸惑いながら)」
奥野 「どっちでもいいじゃない。こっちの方だって空いてるわよ」
浅沼、まだおろおろしている。
奥野 「永野さん、遅れて来るはずだから」
浅沼 「(ほっとしたように)そうですか。あっ、じゃあ奥野さんお一人なんで、こちらで
……」
奥野のテーブル(ソプラノ寄り)に座る浅沼。
高木 「山下さん、すみません。手伝ってもらっちゃって」
山下 「ううん、だって私一番若いし」
高木 「……(絶句)」
スマホのメッセージ受信音が鳴り響く。
山下 「あっ、すみませーん。内装工事終わったら連絡もらうようにしてたの忘れて
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