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メイドコンビニ３

メイドコンビニ３
作　辰巳　幸夫

登場人物
バイト女　河井
バイト女２　渋井
店長　男
客

（嵐の日、河井が一人で店内にいる）
（渋井が店に入ってくる）

渋井　すみません、遅くなりました。
河井　大丈夫ですよ、この天気じゃお客さんもあまり来ませんから。
渋井　そうですよね、じゃ今着替えてきますね。
河井　はーい。

（ボーっとしている河井）

渋井　河井さん？
河井　はい！
渋井　考え事ですか？
河井　いえ、ちょっとボーっとしてました。
渋井　暇ですよね。あっそだ！はじめましてですよね。
河井　そうですよね。はじめましてよろしくお願いします。
渋井　こちらこそよろしくお願いします。
河井　シフト表では名前を見かけましたけど一緒になるの初めてですね。
渋井　そうね、河井さんはいつもは夕方の時間じゃなかったっけ？
河井　そうです。
渋井　今日はどうしたの？
河井　どうしたってわけじゃないんだけど今までは他のバイトもしてたんで･･･
渋井　そっち辞めちゃったんだ。
河井　はい。
渋井　それでこの時間に入ったってわけね。
河井　はい。
渋井　元気ないわね。いつもそんな感じなの？
河井　そうですか？私はいつもと同じく元気ですけど？
渋井　そう、ならいいけど。河井さんってあれでしょ、メイドさんなんでしょ？
河井　ええ、もう辞めましたけど･･･
渋井　店長が言ってたわよ、いつもお客様のことをご主人様って言っちゃうって。
河井　はい、でももう大丈夫です、辞めましたから。
渋井　そう残念ね、私メイド喫茶なんて行ったこと無かったから一度言われてみたいのよ
　　　ね、ご主人様って。
河井　それは残念ですね、女性の方はお嬢様ってお呼びするのですよ。
渋井　そう、それじゃお嬢様って呼んでみてよ。
河井　それは出来ません。
渋井　何よ！私がお嬢様に見えないっていうの？オタクの男どもにはご主人様～って甘い
声出しちゃうくせに、ちょっとやってみなさいよ。
河井　そんなことしません。
渋井　じゃあ何でやってくれないのよ。
河井　店長がコンビニではメイドは止めてくれって･･･
渋井　いいじゃない、どうせ今日は来ないしお客さんだってこの天気じゃ来やしないわよ。
河井　嫌です。
渋井　何よ、河井って名前のくせに可愛くないわね。
河井　よく言われます。
渋井　そう、あなたって可愛くないのね。
河井　そちらじゃありません、可愛いって方です。
渋井　腹立つわね。どうせ私は渋いです、子どもの頃から渋井は顔が渋いとか、私の顔を
見て柿が渋いとか言われてきたわよ。いいわね名前も顔も可愛くって。
河井　そんなことありません。

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