悪魔が家にやって来た
悪魔が家にやって来た
作 宝井 直人
登場人物 住人
悪魔（ゴリゴリの悪魔）
以下本文
悪魔 （ピンポーン）
住人 （無視する）
悪魔 （ピンポーン）
住人 （チラ見して無視する）
悪魔 （チャイムを連打する）
住人 ・・・っち、（玄関に向かい戸を開ける）誰ですか？
悪魔 ふっふっふっふ、私は悪魔だ。
住人 （扉を閉め鍵をかける）
悪魔 （扉を叩きながら）開けろ！開けてくれ！話を聞け！
住人 （扉を開けて）ちょっと、うるさいですよ、てか何ですか？
悪魔 私は悪魔だ。
住人 ・・・悪魔。
悪魔 ３千年の時を経て、深淵の闇に蠢く冥界より、ここ人間界に舞い降りた。この私を呼んだのは貴様か？
住人 ・・・いえ、ちがいます。
悪魔 ・・・え、
住人 呼んでないです。（ドアを閉めようとする）
悪魔 そ、そんなはずはない。貴様が行なった悪魔降臨の儀式「降魔の儀」により、私は舞い降りたのだ。
住人 いや、やってないです。
悪魔 そんなはずはない！
住人 やってないです。（ドアを閉めようとする）
悪魔 ちょちょちょちょ（遮り）・・・え・・・ここ、５０３号室だよな？
住人 そうですけど
悪魔 じゃあ確かに貴様が
住人 呼んでないです。用がないなら帰ってください。（ドアを閉めようとする）
悪魔 ん、んーまあいい、（息を整えて）なんでも一つだけ願いを叶えてやろう。
住人 はあ？
悪魔 ただし、願いを叶える代わりに貴様の魂をいただく。そう、悪魔の契約だ。さあ、願いを言え。
住人 いや、いいです。（ドアを閉めようとする）
悪魔 ちょっと待て！なんでだ！何でも願いが叶うんだぞ！！
住人 割に合わないからです
悪魔 え？
住人 だから、願いの代わりに魂でしょ？どう考えても割にあいませんよ。では（玄関を閉めようとする）
悪魔 ちょっと待てちょって待て！
住人 もうなんですか？
悪魔 なんでもだぞ？なんでも願いが叶うんだぞ？なんかあるだろ？
住人 いやホントしつこいですよ。帰ってくださいよ。
悪魔 ダメだ！いやだ！帰れないんだ！悪魔の契約をするまで帰れないんだ！
住人 知りませんよ。
悪魔 ほんとに、ホントに契約取るまで帰れないんだよ！お願いだ！
住人 知りませんよ。
悪魔 ５分だけ、５分だけでいいから話を聞いてくれ！頼む！
住人 （ため息）何ですか？
悪魔 願いはないのか？なんでも叶えてやるぞ
住人 あのですね、ホントに契約取る気あります？
悪魔 当たり前だ！そんなのわかるだろ！
住人 いやわかってないですよ。
悪魔 何がわかってないんだ！
住人 条件。条件下げなきゃ取れませんよ。
悪魔 条件？
住人 願いを叶えるっていうのはいいですけど、条件が魂だったら、そりゃ誰だって契約しませんよ
悪魔 そ、そうなのか？
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