箱入り姫と大泥棒と最強騎士-はじまりの物語-
【登場人物】
ジュール……大陸一帯で指名手配されている大泥棒。マトカリア王国に伝わる世界征服できる宝石を手に入れにやってきた。
ルビィ……マトカリア王国の姫で魔力を使い、宝石を守っている。両親の過保護のせいで城からなかなか出してもらえない。
マリーヌ……マトカリア王国最強と言われる女騎士。国王の命によりルビィの護衛を担当する。
国王……マトカリア王国の王であり、ルビィの父親。
街の人1
街の人2
ジュール ふぅ。やっと着いた。思ったよりも遠かったな。
ジュール 『俺様は大泥棒のジュール。国をまたいで指名手配されてるんだから、自分で大泥棒と名乗ってもいいだろう?最近は大陸の南国にあるサイネリア王国を拠点に美しい宝石から、国に伝わる名画や美術品などを俺のものにしてきた。そんなある日、俺はある噂を耳にした。』
街の人1 マトカリア王国には、世界を征服する力を与えてくれる宝石があるらしい。
街の人2 その宝石は魔力を持つ一族が代々守っているんだそうだ。
ジュール 『これまで様々な宝を見てきたが、世界を征服する力を持つ宝石には出会ったことがない。大泥棒としては是非とも一目見ておきたいものだ。早速俺は、ここから北へ向かったところにある、マトカリア王国へと旅立った。』
(マトカリア王国の城)
ルビィ お父様、私で本当に務まるのかしら?
国王 大丈夫だよルビィ。お前は生まれながらにして魔力を与えられた。ルビィなら宝石を守ってくれるって、ご先祖様が選んでくれたんだぞ。
ルビィ そうは言っても、まだまだ魔力を扱いきれていないんだけど。
ルビィ ・・・・・・この宝石取られちゃったら、世界がその人のモノになっちゃうんだよね?
国王 そうだ。これは決して誰の手にも渡してはならない。それと同時にこの務めは、お前にとっての修行でもあるんだ。
ルビィ お父様も修行したの?
国王 もちろん。修行で得たのがこの力だ。大丈夫。宝石を守るのはお前だけではない。さぁ、入っておいで。
マリーヌ ・・・・・・お呼びですか、国王陛下。
ルビィ お父様、この方は?
国王 彼女はマリーヌ。宝石とお前の護衛を任せた。
マリーヌ マリーヌ・フローレスです。
国王 彼女はマトカリア王国の中では最強と言われる騎士だ。彼女がいれば安心だろう。
ルビィ お父様、護衛をつけてくれるのは嬉しいけど、そんな最強騎士さんを私一人を守るために置いて大丈夫なの?彼女、もっとやることあるんじゃない・・・・・・?
国王 何を言ってるんだ、お前を守るのはマリーヌくらいでないと、私も母さんも心配でお前から離れることができなくなってしまうよ。
ルビィ まぁいいわ。お父様の過保護はいつものことよね。よろしくマリーヌ。仲良くしましょう。(手を差し出す)
マリーヌ お言葉ですが、私はあくまで姫様の護衛。お友達ではありません。
ルビィ あらそう……なかなか気難しいのね。
国王 まぁ、マリーヌ。確かにお前は娘の護衛役ではあるけど、仲良くしてやってくれ。ルビィにも話し相手が必要だ。
マリーヌ ・・・・・・命令とあらば。
ルビィ はぁ。なんだか先が思いやられるわ。
(マトカリア王国の街。街の人たちが噂している)
街の人1 宝石の所有者が、国王様からルビィ様に移ったらしい。
街の人2 なんでも魔力の修行のためだとか。
街の人1 姫様には男どもが束でかかっても倒せない、最強騎士マリーヌが護衛についたらしい。
街の人2 彼女がついているとなれば、少なくとも彼女の力を知る人間は宝石を狙わないだろう。
ジュール ふーん。なかなか面白いことになってるじゃん。
ジュール 『俺はマトカリア王国の街での情報収集を終え、宝石があるらしい城へと向かった。今、宝石の所有者は国王の娘だ。きっと彼女の部屋に潜入すれば、何かしらわかるだろう。俺は城の見張りの目をかいくぐり、塔のてっぺんにある姫の部屋を目指した。』
ジュール よっと。(部屋の窓を飛び越える)
ルビィ ・・・・・・え?あなた・・・・・・誰?
ジュール お、あなたさまはマトカリア王国のルビィ姫かい?
ルビィ そうだけど・・・・・・ていうかあなた、私の質問に答えなさいよ!
ジュール 俺様は天下の大泥棒様、ジュールだ。
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