水平線のヒーロー
水平線のヒーロー



あさひ
希望



    水平線の果てより迫りくる恐怖。
    慌てて逃げる人、立ちすくんで動けない人、泣き叫ぶ人。
    混沌の真っただ中で世界は一変。

    世界は、ヒーローを求めていた。

    それでもあさひは自分の不幸の渦の中。



あさひ   地球最後の日が近づいているらしい。
        それがどうした。私にできることは何もない。
        私には何もない。何をやったってうまくいかない。目覚ましが鳴らなくて寝坊して、財布を忘れてご飯が買えなくて、駅のホームでぶつかった男の人に舌打ちされて、仕事が上手くいかなくて、それで怒られて、きっとこんな日はこのあと雨が降る。
        どうしようもない、私はこんな人間だ。
        だから、地球が終わろうとも、私には何もできない。


    ふと、ペンを取り出し、それを見つめるあさひ。


あさひ   だけど、もしも、もしも私が世界を救うことができたら

あさひ   …ありえないな。そんな夢みたいなこと、どうでもいいか。終わってしまうなら、仕方ないじゃないか。終わる前に、何もできなかった私が悪いじゃないか


    誰かの悲鳴。
    あさひに襲い掛かる悪意。

    強くペンを握りしめたこぶしを高く振り上げるあさひ。

    その時、突然あさひの体が力強く押し倒される。
    真横を勢いよく掠めていく悪意。

    間一髪、命拾い。
    あさひの命を救ったのは、無垢な瞳の幼き希望。


希望       やあ、ヒーロー!


    呆然として立ち上がれないままのあさひに、希望は呼びかける。


あさひ   へ…?
希望       君のことずっと探してたよ!
あさひ   なに?
希望       さあ、はやくいこう!みんなが君の助けを待ってるんだ!
あさひ   いくって、どこへ?
希望       悪を倒しに!
あさひ   なんでそんなこと、私が
希望       だって、君はヒーローだから
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